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8. いろは歌留多に学ぶ(その2)−論より証拠

江戸いろは歌留多の2枚目が「論より証拠」です。初めてこの言葉が使われたのは江戸中期だと言われていますが、出典は明らかではありません。今日まで絶えることなく使われ、よく知られていることわざです。意味は「物事を明らかにするには議論をするより証拠となるものを示せ」ということです。論・証拠ともに抽象名詞ですから歌留多の絵にするのは難しかったようです。明治時代の歌留多を見ますと、丑の刻参りの証拠品だと奴が藁人形を指し示している絵が描かれています。歌留多の時に読み手は「論より証拠藁人形」と読んだそうです。
 
話が脇道へそれましたが、株式投資に当たっても議論ばかりしていても良い銘柄が見つかるわけではありません。議論しているよりは良い銘柄である証拠を探し出すことの方が重要です。一例を挙げれば、金融機関の担当者に銘柄を薦められとします。ただ面白いとか、有望ですよと言われて、前にもそう言って薦められたが駄目だったではないかと議論してみても始まりません。担当者の話は話として、それを確かめる努力をすることが大切なのです。それだけの投資価値があるのかどうか、自分で証拠を確認することが必要です。例えば、可能だとすれば会社を訪問してみる、商品の販売現場を見るといったことが、証拠の確認につながることなのです。儲けることは自分を信じることだと先にお話しましたが、こうした努力によって自分が納得すること、これが自分を信じるということです。そうすれば一時的な株価変動にも心が揺れることはないはずです。
 
再々IT株の話で申しわけありませんが、某IT株が有望だと市場で云々されている時、多分材料がいろいろ並べられていたはずです。そんな時、投資判断をする際に求められるのはまず、自らで、その企業の事業の実態をできるだけ調べ又、商品の様子を見にいくといった努力が必要だことです。またその企業の販売する商品のマーケットが、果たして株式市場ではやされている程、その成長性と利益率において明るいものであるのかも冷静に見極めようとする努力が必要だということです。このように自分で証拠を確認しようとする作業の中で、こんなことで儲かり続けるのかな、事業の実態と比べて株価水準は何如なものかなといった疑問を持ったかもしれません。これらの疑問を持ったとしたら投資を差し控えることになったかもしれません。投資にあたっては証拠は自ら確認する努力を惜しまないことが重要だということです。
 
繰り返しますが、良い銘柄を発掘するためには、人の話や出版物を鵜呑みにすることだけは避けなければなりません。上がるべき材料を自分で確認する、すなわち証拠をみつける努力が必要なのです。方法はいくらでもあるはずです。知人・友人のネットワークを生かすことで証拠を集める、多くの人の意見を聞いて自分の考えを確認する、自分なりに企業データを集めて確認したり分析したりするなどが一例です。議論は実になることもありますが、議論で得た結論を絶対と信じることなく、これを自分で確認する努力を怠っては勝利の道は覚束ないということです。この点を忘れないで下さい。同じ意味のことわざに「百聞は一見に如かず」という言葉があります。次回は今回をフォローする意味で、これについてお話しします。

 

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