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9. 「百聞は一見に如かず」
■「百聞は一見に如かず」という言葉が使われだしたのは決して古いことではないようです。江戸時代に一部で使われていたようですが、一般的になったのは明治に入ってからです。ただ、出典は「漢書」だとされています。意味は申すまでもないことですが、「人の話を100回聞くより、自分の目で一度みる方が確かだ」ということです。前回紹介した「論より証拠」を別の言葉で表現したと考えればよいでしょう。まず、これにまつわる話を紹介しましょう。
■女性の社会進出が著しい米国でも、大手企業の経営トップとなると女性には狭き門です。それだけに99年7月に業績が伸び悩んでいた名門企業ヒューレット・パッカードが社長兼最高経営責任者に、通信機メーカーのルーセント・テクノロジー社のグローバル・サービスプロバイダー部門社長でしかなかったカールトン・フィオリーナ女史(当時45歳)を引き抜いた時には米国中の話題になりました。それから400日余りの今年9月には取締役会の会長に昇進して再び注目を集めましたが、就任後4半期ごとの業績は15%以上の成長を実現したのですから当然とみることもできます。フィオリーナ女史は就任後様々な施策を打ち出しましたが、基本になったのは「百聞は一見に如かず」でした。全米に散らばる事業所のすべてを訪れ、現場の人たちと話し合って何が問題なのかを自分の目で確かめて改革を行なったのです。ネット時代の担い手である企業のトップがネットによる対話ではなく、フェース・ツー・フェースこそが実態把握に重要だと、時代遅れと揶揄する向きもあったようですが断固として方針を変えませんでした。これが成果につながったことで改めて現場をみることの重要性が再認識されているようですが、現場をみることを忘れて不祥事につながったわが国のどこかの経営トップとの違いを痛感させられます。
■自分の目で確かめることは何事でも大切なことであり、株式投資においても通用することです。外国の機関投資家の中には年に2−3回は日本を訪れて、経済の実態を町の様子から肌で感じ取り、関心のある企業を訪問して経営トップの話を聞いたりしている人達もいます。国内の機関投資家も単にアナリストの意見を聞くだけでなく、自分で企業を訪問したり工場を見学したりしています。自分の目で確かめて判断することが重要だと考えているためです。一般の投資家には企業訪問して経営者に会うとか工場見学をする機会はなかなかないと考えがちですが、経営者の講演会が開催される機会が増えていますし、企業がIRの一環として一般投資家を対象にして工場見学会を実施する動きも増えつつあります。こうした機会を生かして企業・経営者にじかに触れることが、銘柄選択眼を高めることにつながるはずです。商品を手にとって他社製品と比較してみることも目で確かめる手段です。その気になれば方法はいくらでもあります。面倒だと確かめることを怠ることが失敗のもとになりかねないことを忘れないで欲しいと思います。次回は確かめることの大切さを別の形でお話ししてみます。
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