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11. 投資尺度を盲信してはいけません
■株価水準を考える場合に、一般に投資尺度が利用されています。投資尺度の詳しい内容については、「株式入門講座」を開いて見て下さい。投資尺度の代表的なものは、配当利回りと株価収益比率(PER)、株価純資産倍率(PBR)です。この三つの尺度が基本であることは、未上場株の資産評価や新規公開株の参考株価算出の時、この3尺度も使用されて上場株と対比する方法がとられていることに明らかです。この3尺度のうち、むかしは配当利回りが中心でしたが、現在は株価収益比率が多用されています。株価純資産倍率は株価の下値のメドを探る尺度として利用されています。基準になるデータである配当金額や1株当たり利益、1株当たり純資産は、一般の投資家でも東洋経済の会社四季報、日本経済新聞の日経会社情報に記載されていますから、自分で計算することができます。この他にも多くの投資尺度がありますが専門家でないと計算できないような複雑な計算式や一般の投資家には入手できないデータをベースにしており利用しにくい欠点があります。投資尺度は誰でも簡単に計算できるものであることが望ましく、このためこの3尺度が基本にされているのですが、現在最もポピュラーな投資尺度は株価収益比率と考えてよいでしょう。新聞や雑誌の株式記事、あるいは証券会社のレポートなどをみても、株価収益比率が何倍だから割安といったようなコメントが多いことにも明らかです。
■株価収益比率を投資尺度として利用する場合に注意しなければならないことは、絶対的な妥当水準はないということです。株価収益比率が30倍だから割安だというようなコメントをみることがありますが、常に30倍が割安ということにはなりません。この点を誤解しないようにしていただきたいのです。配当利回りの場合は、一般の金利水準を基準にして割安性や割高性をみることができますが、株価収益比率の場合はこうした基準がありません。株価収益比率の場合は市場全体の水準、同業種の水準、同業他社の水準との相対比較で割安、割高を考えるだけのことなのです。ところが、この比較される対象が常時変動しますから、それとともに妥当な株価収益比率の水準も変動することになります。さらに株価収益比率は予想利益をベースにして計算しますが、予想はあくまでも予想です。予想が大きく狂うこともあります。ですから購入したときの株価収益比率が相対的に割安だったとしても、いつのまにかその水準が割高になっているということがあり、株価は下落する可能性が大きくなります。ですから株価収益比率からみれば割安だといったような論評を盲信してはいけないのです。
■しかも、株価収益比率の水準というのは企業や業種によって固有の習性があることを見逃してはいけません。常に市場平均よりははるかに低い水準に放置される銘柄がある一方で、常に市場平均より高い水準にある銘柄もあります。これまでの前者の代表例が某大手フィルムメーカーであり、後者の代表例が某大手不動産会社でした。これには理由はあるのですが、こうした習性を見極めないと判断を間違えることになります。このため個別銘柄の過去の株価収益比率レンジを調べてみることが重要です。過去の利益実績と株価レンジをもとに株価収益比率のレンジを計算し、低い水準が何倍で高い水準が何倍だったかを調べ、現在の株価収益比率の水準が過去のレンジのどの位置にあるかをみれば、現在の株価水準を知ることができます。こうした努力で株価の位置を確認することが勝利の道につながり、ケガを小さくすることになるのです。次回もこの続きをお話したいと思います。
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