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15. 損得を決めるタイミング
■Nと言う銘柄があります。1999年4月、店頭市場から第一部市場に上場された銘柄です。2000年の新年の友人だけの会合でのこと。Aさんは、「昨年はN株式で儲けた」と話したら、Bさんは「N株式で損した」ということで、同じ銘柄に投資したのに、どうしてこんな違いが出てくるのかという話になりました。N社はデータ管理ソフトで世界最大の米国企業の日本法人、IT関連銘柄です。業績も大きく伸びており、機関投資家のアンケートでは、1998年公開された優良店頭銘柄のトップにランクされた優良企業です。会社の質から考えれば、Aさん、Bさんともに投資対象として選んだことに間違いはなかったといえます。それなのにAさんは儲かって、Bさんは損をしてしまいました。このように同じ銘柄を買っても儲ける人と損する人があるのです。儲けるのと損するのとでは天地の違いがあります。なぜ、このような結果になったのでしょうか。これは簡単に言ってしまえば、投資のタイミングの違いだけのことです。どんな有望株でも投資タイミングの違いが、結果に大きな差を生み出すのです。
■もう少し、AさんとBさんのケースをみてみましょう。Aさんが購入したのは1999年の初めのことです。機関投資家のアンケートの結果から興味を持ったということです。4万8000円でした。それが同年3月には10万円近くになったので2倍の9万6000円で売りました。100株の投資でしたから手数料を別にすれば480万円が3ヶ月で960万円になったのです。Bさんは同年4月に第一部市場に上場し、5月決算期末で1対1.5の株式分割を行うというニュースで、Aさんが売却する直前の3月初めに9万円で購入し、株式分割後に期待をかけていました。しかし、結果的にはIT関連株人気の離散から、株式分割後の高値も6月の4万9900円、権利を逆算しても7万4850円にとどまり、その後もジリ貧状態でした。結局7月に3万9000円で全部売却、900万円投資して315万円の損失となったというわけです。Bさんも太公望の心境で長い目で箪笥の中に放り込んでおく気持ちで持ち続けたら、結果は違ってくるかもしれません。しかし、現実に値下がりして損失が膨らむ心配が嵩じれば売りたくなって当然でしょう。
■これは極端な例かもしれませんが、この一例をしても、投資のタイミングの違いが大きな差を生み出すことがお分かりいただけると思います。投資のタイミングは後でみれば簡単なように思えますが、現実はそうではありません。株式投資で最も難しいのは、銘柄選択ではなく、タイミングであると言われるように、投資のタイミングは極めて難しいものなのです。一般に株式は高くなると買いたくなり、安くなると売りたくなるものです。タイミングとしては逆の行動をとりがちです。「必ず儲かる投資法は何ですか」という質問に対する正しい答えは、「安く買って高く売ること」です。しかし、現実の行動は違っているのです。これが人間の心理なのです。ですから、投資のタイミングの捉え方は、自分が自分の考えを裏切ることにあるという考え方ができます。買いたい時は買いのタイミングではなく、売りたい時が買いのタイミングだということです。禅問答のような話をしてしまいましたが、次回からこのタイミングの考え方についてお話ししていくことにしたいと思います。
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