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16. 冷静さを失わない心構えが第一歩

一般的に言いますと投資家心理というのはおかしなもので、株価が安い時には見向きもしないものです。多くの投資家に接してみますと、安くて人気のない株には拒絶反応が強いようです。安いから何か悪い材料があるのではないかと考え、もっと下がるかもしれないと考えるためかもしれません。投資家には常に安全性を要求する心が潜在しているからだと、心理学者は分析しています。一方で安い時には買えないと考えていた銘柄でも、人気が出て高くなると、安い時に抱いていた拒否反応はすっかりなくなって逆に買いたくなり、何の抵抗もなく飛びついてしまうという行動をとりがちです。投資家は投資行動を起こす時、それぞれにもっともらしい理屈を並べ立てますが、所詮は市場の人気に付和雷同することが多いということです。「赤信号みんなで渡れば怖くない」というジョークはビートたけしが言い出したことですが、株式投資に当たって投資家がとっている行動は、まさにこのような心理状態に根ざしている場合が多いといっても間違いないでしょう。米国の学者が株式投資は群集心理学のジャンルだと語っているのも納得できることです。
 
こうした行動を頭から否定するつもりはありませんが、付和雷同型の投資行動は失敗に終わる可能性も多いと考えた方がよいでしょう。群集心理が生み出した人気という魔物に踊らされて失敗したケースは少なくありません。その典型が1999年のネット関連株人気だったともいえます。人気が嵩じてくると、投資家は冷静さを失い、早く買わないと損をするような錯覚すら覚えるようになり、とにかく乗り遅れまいとします。ところがこうした心理状態になって出動した時が、すでに8合目、9合目ということが多いのです。これは株価水準がピークにちかいほど売買高が大きく膨らむことに実証されています。逆に安くなって誰もが見向きもしなくなったような時は、やっぱり駄目かと考えて持株を手放してしまうことが多いものです。「安値を叩く」という言葉がありますが、売った時が安値だったということがよくあるものです。これも市場の悲観人気に流された結果によるものだといえます。
 
人間は周りのことを気にしがちです。この特質が投資行動では市場人気に惑わされることになります。多くの人と同じように市場人気に振り回されていたのでは、投資行動のタイミングはどうしても後手を踏むことになり、これが失敗につながり、あるいは成果を得るにしても僅かなことに終わってしまうのです。これを避けるためには、人気の渦中に入り込まない冷静さが重要なのです。投資行動では冷静な判断力が重要ですが、特に投資のタイミングを考えるには、冷静さを失ってはならないのです。金融機関の担当者も人の子、人気が高くなればなる程、市場人気に左右され自信を持って顧客に推奨しがちなのです。冷静さを失っていますと、これに乗ってしまいます。しかし、株式は買わなければ損することもありません。ここで一呼吸おいて冷静に判断することが大切なのです。「慌てる乞食は貰いが少ない」というように、この心構えこそが、正しいタイミングを図る第一歩になると考えてください。

 

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