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34. 材料と投資判断(その1)

株価が材料で動くことは言うまでもないことです。よい材料が出れば買われ、株価が上がり、反対に悪い材料が出れば、株は売られ、株価は下がるのが、ごく当たり前のことです。ところが理の当然通りに株価が動かないことが多いのです。例えば、大幅増益決算が発表された時、これは間違いなく好材料であり、株価が上がってもよいはずなのに、逆に株価が下落してしまうということが少なくないのです。また、悪材料が発表されて、株価が下がると思ったら、逆に値上がりしというケースもみられます。株価はこのように「天の邪鬼」的な動きをみせることが少なくありません。そこで株価材料をどのように判断し投資行動に結びつけるかということについて、何回かに分けてお話してみましょう。
 
以前述べた繊維のK社の株価が、2001年5月決算発表直前に380円台に乗せて過去5年来の高値をつけました。決算が発表されて予想通りに大幅増益を達成、連結の債務超過が解消されました。続く2002年3月期も経常利益は18%の増益計画を発表しました。しかし、株価は決算発表を契機に360円前後から300円すれすれまで下落しました。本来なら債務超過解消、大幅増益予想は好材料であり、株価が上昇してもおかしくなかったはずです。ところが逆に株価は下落してしまいました。どうして、このようなことが起きるのでしょうか。
 
株式の世界では、材料を先見して株価に織り込んでいきます。その材料が現実のものになった時には、すでに株価にその材料が織り込まれてしまっているというケースも多いのです。材料が明らかになった段階で「材料の出尽くし感」が生まれ、人気が後退してしまう場合です。好きな人ができて惚れに惚れたが、美点という美点を知り尽くした時に、気持ちが冷えてしまうということがあります。これとまったく同じ心理だと考えればよいでしょう。カネボウの大幅増益、債務超過解消は、すでに昨年半ばから期待され、これを先見して株価は2.5倍になりました。この過程で材料は株価に織り込まれてしまったと考えられます。これが現実となった段階で、「材料出尽くし感」が生まれたとみることができるでしょう。
 
したがって、好材料が明らかにされた時、その材料が株価に織り込まれてしまっていれば、材料の出尽くし感から買い人気は衰えてしまうと考えなければなりません。新たな好材料が飛び出してこない限り、株価は休養に入る可能性が高いわけで、この段階では新規の買いを考えるのではなく、持ち株を一度処分して、再度投資するチャンスを待つことが適切な戦法だともいえます。相場の格言には、「好材料の出尽くしは売り」とあります。また、「知ったらしまい」といいます。こうした言葉は、このような相場の材料に対する反応が単純ではないことを指しているのです。

 

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