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53. 丸いものでも見方によって四角に見える
■先入観としてコップは丸いと考えている人が多いはずです。確かに上からみれば特異な形をしたコップ以外は丸く見えるものです。ただ、横から見ると四角に見えます。したがって、人によってコップは四角と考えているかもしれません。通常でもこのように見方によって見える姿がまったく違うケースはいくらでもあります。普段は無口の人でも、親しい人との間では饒舌になる人もいます。普段の姿しか見ていない人は、あの人は無口と思い込んでいるでしょうし、親しい人は饒舌な人と考えるはずです。こうしたことが何を意味しているか考える必要がありなす。一面だけで決めつけてはいけないということです。株式市場の出現する材料についても同じことです。
■卑近な例で考えてみましょう。現在の最大の話題は米国同時テロに始まったテロの恐怖です。テロの発生以降、世界経済は大きなダメージを受けています。伝えられるニュースはほとんどの産業界が負の影響を受けているという話に終始しています。例えば、航空業界は旅行客が激減し、海外向けの航空券は大幅にダンピングされ、海外ツアーはダンピングしても客が集まらないということです。テロの恐怖、将来の生活不安を考えれば海外旅行は止めるようと考えるのは当然です。テロは株式市場にとっては明らかにマイナス材料ですが、頭からこのように決めつけてよいのかどうか考えてみる必要があるのです。
■海外旅行者の急減で、従来海外旅行者が海外で購入していた商品を国内で買わざるを得なくなっているものがあります。例えば化粧品です。化粧品は女性にとっては必需品、海外旅行者は自分のため、あるいはお土産に年間で2000億円も購入していました。これは資生堂の国内化粧品売上高の8割に相当するものですから大きな金額です。海外旅行の激減から海外購入分を国内で買う動きが見られると伝えられています。化粧品の店頭販売がテロ事件以後順調に伸びているようです。テロ事件がプラスに作用している業界もあるというわけです。このテロ事件がプラスに作用しているケースは他にもみられます。米国では炭素菌の恐怖から抗生物質など医薬品需要が伸びています。わが国でも一部自治体がテロなどの災害に備えて医薬品の備蓄を増やす動きにあります。
■何も化粧品株や医薬品株が有望だと語っているのではありません。有望かどうかは株価水準やその他の要因も考えて検討しなければなりません。あえてこのような話をしたのは、株式市場に悪材料が発生した時、悪材料は悪材料として受け止めると同時に、この悪材料で恩恵を受ける業界・企業があるかどうか、好材料が出現した場合も悪影響を受ける業界・企業はないか、プラス・マイナスの双方からの材料吟味が必要だということを知っていただきたいからにほかなりません。材料を単純に鵜呑みにするのではなく、表と裏から検討することが、株式投資でリスクを小さくすると同時に有望株を発掘する手段につながることを忘れてはならないのです。
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