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56. 麦藁帽子は冬に買え

毎年11月も中旬を過ぎると日に日に寒くなり冬将軍の到来は間近に感じます。この時期に寒さが厳しくなる気配があると、冬物衣料が売れ出します。ところで、寒い時には夏物用品を買おうとする人はいません。冬休みに暑い南国へ旅行するため、夏物用品を買いにいってもまず品物がないのが普通です。季節はずれのものは売れないから品物が店先から消えているのは当然といえます。相場格言に「麦藁帽子は冬に買え」という言葉があります。この言葉を文字通りに受け止めれば、買えといわれても麦藁帽子を売っているところがないではないか、品物がないのに買いようがないということになります。そこで、この言葉の意味するところを考えてみましょう。
 
麦藁帽子を冬に買う人はいません。必要がないからです。品物があったとしても誰も見向きもしません。仮に夏の売れ残りがあったとすれば、在庫処分でただ同然で売ってくれるでしょう。この誰もが見向きもしないときは、安く買えますからバーゲンハンティングの絶好のチャンスということになります。その後訪れる暑い季節に買うよりはるかに安く買え、得することになります。この格言はこうした意味を込めているのです。株式も誰も見向きもしなければ、株価も安値に放置されている可能性も高くなります。こうした時に仕込んでおけば、値上がりのチャンスが訪れるということです。注目されるようになった時には、株価はそれなりに値上がりしているはずです。その段階で買うよりは、誰も見向きもしないときの方がずっと安く買えますから、値下がりの危険性はより小さくなりますし、将来の値上がりのチャンスも大きいということです。
 
ただ、暑さが訪れるのを期待して冬に買った麦藁帽子も、期待に反して冷夏だったら使わずに終わることもあります。これと同じように将来の値上がりを期待して安値買いした銘柄が、期待に反して底値から立ち上がれないこともあります。しかし、この場合でも値下がりによる損失を蒙る確率は、人気の時に買うよりはずっと小さくなります。株式投資の鉄則は、儲けることよりも損をできるだけ小さくすることを優先させることです。損が小さければ、投資資金が温存され、それだけ儲けるチャンスを生かすことができます。損をして投資資金をどんどん減らしてしまっては、チャンスがあってもみすみす逃すことにもなります。株式で儲けるということは安い時に買って高くなったら売るという極めて単純なことだといわれます。そして、安い時に買うことは、仮に失敗しても損は小さくて済むということです。「麦藁帽子を冬に買え」というのは、この安い時に買うという大原則を教えている格言だと理解してください。この大原則を念頭において、不人気で安値に落ち込んでいる銘柄の中に、いつか活躍する時がやってくるという期待を持てる銘柄を発掘し、仕込み、気長に待つことが儲けにつながることになります。冬に安く買った麦藁帽子を押入れに仕舞い込んで、夏の訪れを待つ心境と同じように考えればよいでしょう。

 

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