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58. アンケートの人気結果はなぜ当たらない

新年を迎えると多くの新聞が、識者や専門家のアンケート結果を掲載するのが恒例行事になっています。しかし、この結果は当たらないことが多いものです。例えば、2001年の正月に日経金融新聞がファンドマネージャーなど55人の専門家を対象にしたアンケート結果では、有望銘柄のベスト3は松下電器産業、村田製作所、武田薬品工業でした。2000年末株価と2001年高値、2001年11月末の株価を比較してみましょう。松下電器産業(2730円、2800円、1624円)、村田製作所(13610円、14890円、8410円)、武田薬品工業(6760円、7070円、5510円)です。高値は2000年末株価を松下電器産業で2.5%、村田製作所で9.4%、武田薬品工業で4.6%上回っていますが、この程度の上昇ではもう少し上値があると考えて利食いできなかったと考えられます。そして、高値以後は下落し、持ち続けていれば、松下電器産業で41%、村田製作所で39%、武田薬品工業で19%の値下がりになっています。相場が悪かったからといってしまえばそれまでですが、これは専門家といえども時流に乗ることを考えるためともいえるでしょう。
 
N・ドレマンという米国学者の著作「心理学と株式市場」に、「市場と調和して一緒に行動したり、専門家の意見に同意、感激して行動をともにしないことが重要です。上昇相場で時代の脚光を浴びている銘柄を買いに行くのは魅力的行動で、この誘惑を避けるにはかなりの精神的忍耐が必要ですが、実際には米国の機関投資家会議の秘密投票で選ばれた有望株が上がったことはなく、逆に値下がりしています。短期的には人気株が値上がりする可能性がありますが、反落の可能性の方が大きいのです。時流に乗っているということはすでに相当値上がりしているためです」と語り、時流に乗るのは危険だとしています。そして、「不人気の銘柄を買うことは向こう見ずと言われるかもしれないが、逆に危険より値上がりの可能性が高い」としています。
 
どうしても一般投資家が何かを買おうと考える場合、専門家の意見を参考にしがちですが、専門家も人気の流れに目を奪われてしまうものです。時流に逆らった銘柄を奨める専門家はほとんど皆無といってよいでしょう。しかし、結果は違ったものになりがちなのです。2001年は全体として相場がよくなかったのに、逆に大きく値上がりしている銘柄もあります。例えば、2001年の年初来高値を更新している松竹は2000年末が491円でした。約5割の値上がりです。値上がりの理由はともかく、2001年年初にはまったく見向もされていませんでした。多分、年初に有望株を松竹だといっても、相手にされなかったでしょう。人間の心理とはおかしなもので、皆が強気の意見を言えば、そうだそうだと思い込んでしまいますが、大勢の意見と逆のことを聞けば、頭がおかしいのではないかと考えがちです。N・ドレマンは、これが危険だと語っているのです。相場の世界では権威や定説をまず疑ってみること、またそれを信ずる前に一歩退いて自分なりに冷静にそれが正しいかどうか自問自答してみることが大切だということです。株式市場は心理学の世界だともいわれていることがお分かりいただけると思います。

 

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