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70. もう一つの分散投資

分散投資について、銘柄の組み合わせによる分散投資、いわゆるポートフォリオ投資の方法と重要性に関してはよく理解されたと思いますが、分散投資にはもう一つの考え方があります。投資目的別の分散投資です。投資目的とは長期投資か短期投資かということです。長期投資とは長期に成長が期待できる銘柄を選択して、短期の人気の循環に目を奪われることなく、長期に保有しつづけて実りを得ることです。投資の原則は長期投資といわれるのは、このような考え方の長期投資であればリスクも軽減できるからです。特に相場が長期に下げて、水準も記録的に低い時には、こうした方法で大きな成果を挙げる可能性は大きいものです。短期投資はまさに短期間で成果を挙げようとするものです。
 
ところが、長期投資では株式投資で得られる臨場感やスリルがないという人が少なくありません。できれば短期投資で戦果を挙げたいと考えるのは投資家心理としては当然のことです。恐らく株式投資を行っている人のほとんどは、長期投資が原則だと分かっていても、短期投資に目が向いているはずです。しかし、短期投資にはリスクが伴います。短期に成果を挙げようとすれば、人気の波に乗ろうとすることになります。ところが、市場人気は循環します。上手に人気の波をとらえれば短期に成果を得られますが、タイミングがずれてしまうと、常に後追いとなり、成果よりも損失につながることになります。短期投資一本槍では成功すればよいのですが、失敗した時の被害も大きくなります。
 
武士は大小2本の刀を身につけていました。宮本武蔵の二刀流は例外的で、大刀と小刀をTPOに応じて使い分けていたのです。名人ほど大刀を抜くことは少なく、少々のことなら小太刀であしらうという使い方をしたようです。大刀を長期投資、小刀を短期投資と考えて、武士と同様にこれを使い分けることを考えるのが、投資目的別の分散投資と考えればよいでしょう。資金を長期投資にいくら、短期投資にいくらと配分するのです。これによって長期に確実に利殖を狙う一方で、短期投資による満足感を充足することができます。
 
配分の仕方は個人それぞれの性格や、資金の余裕度によって違ってきますが、原則として短期投資は余裕資金を配分するという考え方が必要です。武士が刀を一本だけという時には大刀を身につけました。小刀だけでは、イザという時に対応できないこともあるためです。虎の子の資金を短期投資に振り向けたのでは窮地に追い込まれることもあります。基本的には長期投資に7割、短期投資に3割程度の資金配分が妥当だと思われます。重要なことは短期投資で失敗して短期向けの資金が減少しても、長期投資資金には手を付けないことです。資金の当初の割り振りを決めたら、それぞれの資金を別物として管理していくことが大切です。そうでないと投資目的別の分散投資の意味がなくなるからです。

 

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