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73. 無視してはいけない企業の血統
■競馬の世界では、「サラブレッドは血で走る」といわれ、父親・母親の血統が重視されます。株の世界で、血統が重要だといったら笑われるかもしれません。ところが株の世界でも企業の血統がモノを言っている事実を見逃してはなりません。現在の不況のなかで、トヨタ自動車が1兆円の経常利益を稼ぎ出して過去最高記録を更新しています。業界環境がフォローの状態だったということだけを理由にはできません。自動車業界でも過去最高には程遠い企業がほとんどのためです。しかもトヨタ自動車だけでなく、トヨタグループは総じて好調な業績を挙げています。「トヨタ」という企業の血統がもたらしているという見方ができるわけです。
■住友と三井が合体する時代ですから、旧財閥グループも余り意味がなくなったという見方ができそうですが、実際にはこの旧財閥グループの血統の意味は生き続けています。その典型的な例が、経営が厳しい状態にあり、法的整理を余儀なくされている企業が相次いでいる建設業界で、旧財閥グループの住友建設・三井建設は合併して両財閥グループの支援で再生を図る動きにあることです。これも血統の良さが背景になって、最悪の事態を回避できたとみることができます。
■血統というのは、長い歴史によって築かれるものです。したがって、血統が良いということは、それだけの歴史を持っているということにもなります。この間に築き上げた企業としての信頼性も高いはずです。さらに血統を汚さないことが求められ、グループ内での経営に対するチェック機能も働いていると考えられます。したがって、思わぬ不祥事で苦境に追い込まれるケースは相対的に少ないと考えられます。
■企業をみる場合は、経営者をみることが大切だとお話したことがありますが、経営者の能力を一般の投資家が判断することは簡単ではありません。世間の評判が良いから優れた経営者というわけでもありません。逆に世間の評判を良くするため社外での活動に精を出し、会社のことがなおざりにしているというケースもあるのです。経営の神様といわれた故松下幸之助氏は財界活動には一切目を呉れませんでした。
■経営者の能力判断が困難だとすれば、その会社の血統を見ることが重要になります。血統が良い企業は、血を優先した企業同士の支援が十分に行なわれるでしょうし、経営に対するチェック、サポートも行なわれるからです。旧財閥グループでは主要企業で定例的な社長会が開催され、様々な案件が議論されています。銘柄選別にあたっては、リスク回避のためにも、企業の血統・素性といったものにも目を向けることも大切な場合があることがお分かりいただけると思います。
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