|

78. 株式投資にも通じる「孫子の兵法」
■孫子の兵法書は、古くから日本の戦国武将に愛読されたと伝えられています。武田信玄の「風林火山」が孫子の軍争篇を土台にしたことは有名な話です。林羅山、山鹿素行、新井白石、吉田松陰など江戸時代の学者も孫子研究の書物を残しています。またナポレオンが孫子の兵法書を座右の指南書としたこともよく知られていることです。第1次世界大戦を引き起こし敗れたドイツ皇帝ウイルヘルム二世は敗戦後に孫子の兵法書を読んで、「20年前にこの本を呼んでおれば」と残念がったというエピソードも残っています。
■現在は孫子の兵法書はビジネス社会で多くの経営者の愛読書になっています。戦争の指南書というだけでなく、経営の戦略にも通じるものがあるためです。企業戦争も戦争に変わりはありません。通常の戦争とは武器を持つか持たないかだけの違いでしかありません。それだけに孫子の兵法は経営戦略にも有効なわけです。考えてみますと株式投資も戦争といえます。株式市場という場で見えざる敵と知恵比べの戦争を行なうものと考えることができるからです。孫子の兵法は、勝敗を左右する戦法から、戦略、人間関係、心理などを詳しく述べていますが、このようなことは株の世界でも重要であり、孫子の兵法が有効であることは当然です。
■ここで孫子の兵法を詳しく述べるつもりはありません。関心がある方は専門書で研究したらよいと思いますが、参考までに紹介しておきたいことを挙げておきます。「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」、「彼を知らずして己を知れば一勝一負す」と語っています。相場や投資対象のことを十分に知り、自分の資金量、経験や技量の程度を知ったうえで相場に対応できれば損することはない、相場のことはともかく己の資力や技量の程度を知っていれば2回に1度は儲けにつながるという意味と考えればよいわけですが、相場や企業の勉強もせず、自分の資力や知識をわきまえもせず、相場に挑んでも失敗するだけだと戒めていると考えればよいでしょう。
■孫子の戦い方の基本は、@臨機応変であること、A兵力に応じた戦い方です。株式投資では臨機応変な姿勢が重要であることは、前回にも「君子豹変も必要」と紹介しましたが、孫子もこれを語っています。買うつもりでいたが、相場の流れがおかしいと考えれば買いから売りに方針を一転させることが必要だということです。兵力に応じた戦い方というのは資金量といえます。資力をはるかに超えた投資を信用取引、デリバティブを活用して行なうことは、取り返しのつかないことにつながる可能性があります。また、資力一杯の時でも機敏な行動によって大ケガをしないようにすることが大切です。大ケガは再起不能につながります。資力を超えた無理な戦いは避けなければなりません。
|