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86. 歌は世につれ、世は歌につれ

流行り歌は時代を映すと言われてきました。また、流行り歌が時代を作るとも言われてきました。確かに演歌のヒット作は時代の流れにマッチした内容のものが多いようです。そして不朽の名作といわれても時代が変われば忘れられていきます。一方、ビートルズやプレスリーが一つの時代を作り上げたことは疑いがありません。ビートルズは英国の経済情勢さえ変えるほどの影響力を持ちました。「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉があるのも理解できるはずです。歌自体が「はやり歌」と言われるゆえんなのです。この時代の変化とともに変わっていくということは、株式にも当てはまることなのです。銘柄観でも固定観念にとらわれてはいけないのです。
 
「優良株を狙え」とか、「仕手株には手を出すな」、「ぼろ株は損覚悟で」といったように銘柄には業種区分とは違った区分があります。優良株とはまさに優良企業のことであり、仕手株とは投機性の強い株、ぼろ株とは内容が悪く倒産の危険性もあり得るような株のことを指します。この優良株とか仕手株、ぼろ株というような銘柄区分で銘柄をみる場合に、この仕分けが未来永劫に変わらないと考えてはいけないのですが、つい固定的な観念にとらわれてしまうのです。すでに優良株といえるような内容でないのに優良株と考えたり、時代の変化が会社を変えてぼろ株転じて優良株になっているのにぼろ株のイメージでみてしまうことがあるのです。
 
極端な場合には優良株がぼろ株に変じ、ぼろ株や仕手株が優良株に変わることもあるわけで、昔は優良株だったダイエーがぼろ株に変じ、昔は代表的仕手株だった寶酒造が優良株に変じたといった例は限りなくあるのです。世の変化とともに企業も盛衰を見せ、それにつれ市場の評価も変わっていくのですが、先入観にとらわれていると、これを見落としてしまいがちなのです。そして、これが失敗につながり、チャンスを逃すことになりかねません。ところが、人間はおかしなもので、何事も固定観念にとらわれがちです。それだけに十分に注視する必要があるのです。
 
2002年央、ある雑誌を読んでいましたらニューヨーク市立大学の霍見教授の「小泉首相は実際は隠れ抵抗派」という記事がありました。小泉首相は改革を旗印にしており、一般に小泉首相は改革派という固定観念が出来上がっています。霍見教授は小泉首相の最近の言動からみれば明らかに抵抗派に変質しているというのです。最初から隠れ抵抗派だった可能性もあるとしていますが、数年後あるいは後世にふり返った時、小泉首相に関する一般の固定観念から結果的に正しかったと証明されているのでしょうか。それはともかく、銘柄をみる場合は固定観念にとらわれることが間違いの元になりかねないわけで、いつも白紙の状態で見ることが大切なのです。

 

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