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90. 相場材料は深い読みが大切
■株式市場では日常的に様々な材料が駆け巡り、これが株価に大きく影響しています。ところが、材料に対する株価の反応が、当初から材料に対する印象とは違ったものとなることや、瞬間的には印象通りの動きをみせたのに、時間の経過とともに反対の動きに変わるということがあります。したがって、材料が飛び出した時に瞬間の判断で行動を起こして裏目がでたということが生じがちです。相場材料に対する機敏な判断は重要ですが、短絡的に瞬間湯沸器的な判断を下すことは避けなければなりません。材料判断には深い読みが必要なのだということです。その基本になるのは、その材料が企業業績にどのように影響するかということなのです。
■一例を考えてみましょう。2002年8月、東京電力の原子力発電所検査の虚偽報告が明るみにさらされました。企業の不祥事が株価に大きく影響を与えることは、その前の雪印乳業や日本ハムのケースで経験済みです。この材料を耳にすれば売り材料と判断して当然です。ところが、東京電力の株価はあまり下げませんでした。日本ハムのケースを前例にしてこの材料で空売りを仕掛けても、成果は得られなかったということです。なぜでしょうか。不祥事には変わりはありませんが、不祥事が業況に影響する程度の違いが、株価に反映されたのです。雪印や日本ハムの場合は製品が消費財であり、不祥事が直ちに業績に打撃を与え、しかも尾を引きます。株価の下落は当然だったわけです。東京電力の場合、経営責任問題などがあっても、これが社外に被害を与えたわけではありませんし、消費者が東京電力の電力供給を断ることもありません。この不祥事による業績への影響はほとんど皆無ということです。
■この事例から明らかなように、好材料であれ、悪材料であれ、それが業績にどう影響するかということが、株価の動きに反映されるのです。材料が意外性のあるものであったり、目新しいものであったりすると、単純にそれに飛びついてしまうことがあるものです。しかし、どんなに意外性や新規性が高くても、それが業績とはまったく無関係となれば、株価は瞬間的に反応はしても、すぐに元に戻ってしまうことになります。逆に一見たいした材料に見えなくとも、業績に大きく影響することが分かってくれば、株価もまた予期せざる反応をみせることになるのです。
■ですから、材料が出現した時には、それがマクロ材料であれ、個々の企業の材料であれ、材料が業績にどのように影響するかを考えてみることが必要なのです。要するに業績への影響を軸に材料を深く読み取り判断を下すことが必要なのです。材料に飛びついて直ちに行動を起こすのに比べればワンテンポのズレが生じ、その分だけ成果が小さくなる可能性がありますが、飛びつきによる失敗はなくなり、成功確率を高めることになります。
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