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91. 「まだ」か「もう」か

株価が安値を更新し何十年ぶりだとかの安値をつけると、市場の話題はいつ、いくらで下値に届くのかということです。絶えて久しく、そのような話題は出ていませんが、株価が上昇を続け記録的な高値を付けた時にも、株価は行き過ぎか、そうでないのかといった議論が戦わされます。こうした時に専門家の間で出てくる意見が、「もうよいところまで下げた」、「もう高値に届いた」という意見と、「まだ下げ足りない、下値がある」、「上値を出し切っていない、まだ上値がある」という意見です。これは相場全体だけでなく、個別銘柄でも生じてくる問題です。
 
下げ相場での「もう」という意見、上げ相場での「まだ」という意見には、意見を吐く人が自覚していなくとも期待感が含まれていることが多いものです。期待感が含まれているだけに、投資家はこの意見に賛同し、保有株は当然持続するでしょうし、新規に購入する行動につながることになりかねません。しかし、「あて(期待)と褌は外れるもの」という諺があるように、相場は期待通りに事が運ばないことが多く、このような行動は投資効率を低下させることになりかねません。また、下げ相場での「まだ」という意見、上げ相場での「もう」という意見は、慎重派が吐く意見です。石橋を叩いて渡るような人にみられます。これを鵜呑みにして、まだ下がると考えて様子をみていたら、そこが底値で急反発、買いチャンスを逃した、もうこれ以上上がらないというから思い切って売却したら、そこからさらに大きく値上がりして、大きく儲けるチャンスを逃したという声を耳にすることもあります。
 
このいずれの場合も、外部の意見を自分に都合のよいように解釈してとった行動ですから、結果について悔やんでみても仕方ありません。それよりも他の意見に棹差して、自分の判断でなかったことを問題とすべきです。投資は自己責任、したがって行動を決める状況判断も自分で考えることが必要です。そこで自分で考えるとして、「まだ」と考えるか、「もう」と考えるかのポイントは何かということです。相場格言には、「もうはまだなり、まだはもうなり」という言葉があります。「もう」と考えた時には「まだ」のケースが多く、「まだ」と考えた時は「もう」ということが多いというのです。考えた反対の結果になるということであり、行動も考えたと反対にした方がよいというわけです。
 
しかし、禅問答のような言葉通りに動けるものではありません。状況次第では考えた通りに行動した方がよい場合もあるはずです。格言は格言として、基本は慎重な行動をとることを優先すべきでしょう。安値では「まだ」と考え、高値では「もう」と考えることが大切でしょう。投資はまず「儲けるより損しないこと」が第一歩なのです。投資とバクチの違いです。儲け損なうことと損は違います。逆に損失を少なくしたことが儲けと考えるべきでしょう。この点をよく認識しておく必要があります。

 

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