|
|
| 72.業績大幅悪化・急回復は急回復を買う動きにつながる ■2002年5月末現在、2002年3月期の企業業績の発表が山場を過ぎ、大筋の状況が明らかになりました。金融を除く上場企業全体で連結経常利益は4割強の減益、最終純益は若干の赤字になったもようです。経常利益の減益率はほぼ予想通りのものでしたが、最終純益の赤字は予想以上の悪化でした。3社に1社が赤字でしたから厳しい決算だったといえます。ただ、最終純益の赤字は過去のウミを一挙に片付けようとした企業の思い切った決算処理の結果であり、これによって企業体質はかなり健全性を強めたとみることもできます。 ■決算発表と同時に明らかにされた2003年3月期の見通しは、経常利益が6割強の増益になり、前々期の水準近くまで回復するとしています。また、最終純益は一過性要因が消えることもあって、一気に前々期水準を突破、前々期水準の1.4倍にまで急回復をみせる予想になっています。この見通しも環境を楽観視してのものではなく、企業サイドとしては慎重な見方に立ってのものです。それだけに今後環境に明るさがでてくれば増額修正される余地を残しているものとみることもできます。 ■これほどに大幅に悪化した後に急回復するというケースは、過去にも経験の少ないことです。強いてあげれば、まだ単独決算時代の76年3月期・77年3月期の1回としてよいでしょう。76年3月期に経常利益が5割減となり、77年3月期に倍増して75年3月期の水準まで戻したケースです。ただ、この時も最終純益は76年3月期が2割強の減益、77年3月期が4割強の増益で、75年3月期の1.1倍になった程度で、今度のように赤字になったケースは皆無ですし、一気に前々期の1.4倍に急増する経験もありません。 ■それだけに、この株価への影響が注目されます。76年3月期の大幅減益が発表された時は、事前に減益予想を嫌気して2月初めの4670円から、4月中旬には4408円まで下落しました。決算発表本格化とともに、次期予想の急回復を好感して7月初めの4865円まで上昇しています。その後、秋に向けて4604円まで調整した後、年末に4990円の76年高値を付けています。秋口に入っての増額修正が材料になったのです。この大勢上昇基調は77年9月の5278円高値まで続いています。 ■この例から明らかなように、悪決算が現実に発表された段階では、これは過去のこと、すでに織り込み済みとしてほとんど株価には影響がなく、逆に次期の急回復見通しを株価に織り込んでいく動きをみせています。今年の場合も実績の不振は株価に響いておらず、逆に急回復を見直そうとする動きにあるとも考えられます。夏場に向けての相場の堅調を示唆するものとみることができるかもしれません。 |
|
|||||