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78.円高とドル安の違い

為替市場も相場の世界です。需給関係によって常時変動するところは株式と変わりはありません。円の対ドル相場は2002年春以降、円高・ドル安に動いており、輸出関連企業はどの辺の水準が当面の高値のメドになるのかと気を揉んでいます。ところで円高とドル安は円とドルの関係だけでみれば同じ事ですが、厳密には意味が違うのです。円高とは円がドルだけでなく他の主要通貨に対しても円高になっているケースを指すものです。円安も同じ事です。円安・円高は円を主体に他通貨との対比でみた場合のことであり、円の独歩高・独歩安の場合をいうのです。ドル安・ドル高も同じでドルを主体に他通貨との関係をみた時の言葉です。
 
円高・円安は円に理由がある時に生じます。ドル高・ドル安も同じことですが、ドルは世界の基軸通貨であるため、ドルが他に追随することはなく、ドルの独歩高・独歩安をみせることがほとんどです。ただ、過去の円相場をみると1990年頃までの趨勢的な円高は日本の貿易黒字の拡大を背景に、円に対する圧力が政治的にも強まったもので、円独歩高の様相を呈しました。まさに円高の時代でした。1995年の80円台までの円高はこの最終段階だったと考えられます。しかし、その後はドル中心の為替変動に回帰しています。2002年春以降の円高・ドル安はドル安であり、円だけでなくユーロなどに対してもドル安になっています。

2002年2月中旬と7月中旬を比較すると、円はドルに対して15%の円高ですが、対ユーロでは1%、対英ポンドでは5%、対シンガポールドルは9%、対韓国ウォンは3%、対台湾ドルでは7%の円高になっているだけです。ドルだけが格段に下がっていることが分かります。他に対しても円高にはなっていますが僅かであり、他通貨も対ドルで上昇していることがわかります。円高とドル安をあえて区分する必要があるのは、円高は海外取引のすべてにストレートに為替の影響が出てきますが、ドル独歩安の場合はドル建ての海外取引には影響がありますが、ユーロなど他の通貨ベースの海外取引では影響がないか、あっても軽微だからです。

円高といえば直ちに輸出関連企業へのデメリット、輸入関連企業のメリットを考えがちですが、ドル安の場合は輸出関連企業業績への影響が、取引相手先や取引通貨の違いによって影響も違ってきます。95年に80円台まで円高が進んだ時は、円の独歩高でしたから、国際競争力を失い、これを契機に生産拠点のアジアシフトが進み、国内の空洞化が問題になりました。現在のドル安がどこまで進むかは神の手に委ねられるといえますが、円高の場合とは企業業績への影響の仕方が違うこと、株価への影響も違ってくることを念頭に入れておく必要があります。
 

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