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79.日本型経営と米国型経営

2002年、エンロン事件に端を発した米国の会計疑惑は、大きな広がりをみせてワールドコムに代表される大型倒産、さらに大手会計事務所の消滅にまでつながりました。これが米国株価の大幅下落をもたらし、企業改革法成立にまで発展しました。こうした一連の動きのなかで注目されるのは、米国型の経営手法に対する反省や批判が台頭していることです。つい最近まで世界中の企業が競って導入の動きにあった米国型経営手法が批判を浴びるとは想定もできなかったことです。順風満帆の時には誉めそやされ、逆風が吹いてくると粗探しが始まるのは世の常です。日本経済・産業が拡大基調を続けてきた1980年代までは、世界の企業経営者の目は日本企業に注がれたものです。そして多くの日本型経営手法が真似されました。その代表がトヨタグループで考案されたカンバン方式です。これは現在のSCM(サプライチェーンマネジメント)のルーツです。
 
バブル崩壊後日本経済・産業は1990年代に厳しい局面を迎えました。一方、米国は日本と逆に経済の拡大期を迎えました。この過程で、経営手法については、「日本よサヨウナラ、米国よ今日は」と、日本型経営が批判され、米国型経営手法に注目が集まったのです。ところが、この手の平を返すような評価の逆転が、現在再び起きているのですから面白いものです。日本国内では米国型経営に対する反省とともに、日本型経営を見直そうとする動きが始まっているのです。米国型手法、日本型手法の内容まで触れる余裕はありませんので割愛しますが、この歴史が示すように、経営手法も時代の流れのなかで結果だけで評価されるものでしかないように思われます。そして、絶対的な万国共通の経営手法はありえないことを示しているようにも思えます。

米国型経営手法がもてはやされる過程においても、これに迎合することなく頑なに自らの手法を守り続け、米国型については見習うべき一部分だけを日本型に昇華して取り入れた企業がありますが、このほとんどすべてが現在の産業界の苦境のなかでも成長を続け、過去最高の業績更新を続けています。トヨタ自動車、キャノン、リコーなどです。同業で厳しい状況にある企業があることを考えれば、環境が味方したというより優れた経営の結果とみることができます。日本企業の多くは1990年代から現在に至る10年以上の苦境のなかで自信を喪失し、経営手法についても右顧左眄しがちになっています。これが立ち直りの遅れの原因かもしれません。その点で流れに掉さすことなく独自の経営を守り続けている企業が元気であることが注目されます。こうした企業への長期投資が大きな成果を生み出している事実を見逃してはなりません。
 

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