| はじめに このコーナーは証券外務員資格対策の勉強を始めようとされている皆さんの為のコーナーです。証券外務員資格対策講座の入り口で、「馴染みのない用語や内容が多くて取っ付きにくい」と思われた皆さんにはこのコーナーから始められることをお勧めします。本講座の内容がはるかに身近に感じられる様になること受合いです。 オリエンテーションの項目 1.経済活動と金融の役割 2.国と経済 3.金融の形態(直接金融と間接金融) 4.金融市場と証券市場 5.有価証券 1.経済活動と金融の役割 「モノやサービスの対価としてのおカネ」 誰でも「モノ」や「サービス」を購入するためにはおカネを支払います。私たち個人はもとより、企業でも国でも、その行為に変わりはありません。ただし、常に現金でしかモノやサービスが手に入らないとしたら不自由ですし、経済も停滞してしまいます。例えば、100万円の自動車を、手持ちの現金がないとあきらめなければならないとしたら、自動車の売り上げは伸びないでしょう。売り上げが増えなければ利益の拡大も望めず、ひいては個人の所得も増えないため消費が落ち込み、生産が滞り、経済は沈滞化するでしょう。 「金融とはおカネの融通」 では、そこに100万円の現金を融通してくれる人が現れたらどうでしょう。借りた人は、現金を融通してくれた人に利息を添えて返せばよいわけです。おカネを借りることで、欲しかった自動車が今すぐ買えますし、自動車会社も売り上げを計上できます。 このように、おカネの余った人(部門)から、おカネの足りない人(部門)におカネを融通することを「金融」といいます。 |
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| 「金融は経済の血液循環システム」 経済社会ではどうしても、部門間でおカネの過不足が生じます。これを調整し、円滑な流れをつくるのが金融の働きです。私たちが買い物でカード決済することや、企業が事業資金や設備資金を調達するのも金融の役割です。国が道路や橋を建設する場合にも資金が必要です。税金だけでは足りない場合、国は国債を発行しておカネを集めます。これも金融の一つです。このように、金融の働きなくしては現代の経済活動は成り立ちません。つまり、国の経済を人間の体に例えると、金融とは、隅々まで張り巡らされた「血液循環システム」といえます。 そこで金融について詳しく見る前におカネの金融を不可欠としている国の経済とはどのようなものかをみてみましょう。 2.国と経済 「経済は家計、企業、政府による経済活動」 買物をする、テレビ番組をみる、携帯電話で友達と話す、こうした私たちのふだんの暮らしは実は経済活動でもあります。国の経済のしくみと動きをみると、私たち個人や一緒に暮らしている家族を1つの経済単位とした「家計」、一般には会社と呼ばれている「企業」、政府、政府関連組織および中央銀行からなる「政府」の3者が主な活動の主体で、これら3者の経済活動から国の経済の骨格が成り立っています。(1)家計によるモノとサービスの消費 「家計と消費」 「家計」つまり私たちや家族が、生活必需品やその他の財貨である「モノ」あるいは(例えば、ホテルのサービス料のように)価値ある何かをしてもらう「サービス」を手に入れて使う行動を「消費」といいます。この家計による消費は最も基本的な経済活動の一つです。 「消費のおカネは給料や報酬から」 もちろん私達はモノやサービスをただで手に入れることは出来ません。手に入れるためには「おカネ」をだしてそれらを買わなければなりません。私たちは、「企業へ労働サービスを提供する(働く)」対価として「給料や報酬」のかたちでそのおカネを得ています。 |
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| (2)企業によるモノ・サービスの生産 「企業とモノ・サービスの生産」 家計によって消費されるモノやサービスは主に営利事業を行う企業によって生産されています。「企業」とは継続的にモノやサービスをつくり、それを家計や他の企業に売って利益を稼ぐこと、つまり利益を得ることを目的に事業を行うための人の組織で、一つの経済単位です。会社だけでなく、自分のおうちで事業や商売をしている自営業者も企業に含まれます。 「生産とはモノ・サービスをつくり、運び、売ること」 広い意味で「生産」という言葉には、モノ・サービスをつくる、運ぶ、売るという活動が含まれます。生産は具体的には、エネルギー・原材料・部品など(「中間生産物」と呼ばれています)を外部から購入すると共に、社内の労働力、生産設備、経営者を使っておこなわれます。生産とは消費と並ぶ基本的な経済活動で、モノ・サービスを「供給」することです。 |
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| (3)政府の経済活動に果たす役割 「経済活動のゆがみを補正し、市場環境を整備」 「政府」はその「財政政策」において、税金や社会保険料(健康保険、国民健康保険の保険料、国民年金・厚生年金・共済年金の保険料、雇用保険の保険料、等)を徴収します。一方で、私たちにとって非常に大事なもの、しかも企業が提供できないような社会資本(下水道や防波堤など)の建設(「公共投資」)や公共サービスの提供をしています。そのために家計から公務員を雇い、企業からたくさんの生産物を購入することもしています。これは、放っておけば、民間の経済活動がなされる分野が片寄ってしまうので、それを政府が補正することだとされています。 「所得の再配分と経済の安定化」 また、自由競争による弊害で民間の収入や財産の分布が極端に不平等にならないように、税制や各種の助成措置を通じて「所得の再分配」をはかっています。さらに政府は公共投資の追加や減税といった財政上の景気対策や金融緩和策でもって景気の過度の後退を防ぎ、その反対に公共投資の繰延べや削減、増税や社会保険料の引き上げ、金融引締め策でもって景気の過熱化を冷やすことで、国の経済が安定して発展するように努めています(「経済の安定化」)。 「政府と日銀」 政府の役割はこのような資源配分の調整、所得の再分配、経済の安定化をおこなうと共に、民間の経済活動が円滑かつ公正になされるように「市場環境の整備」を計ることです。このうち、国全体の金融にかかわる政策(「金融政策」)については中央銀行、つまり日本銀行(「日銀」)が担っています。 |
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| (4)市場とその役割 「市場とはモノ・サービスが取引される場」 生産されたモノ・サービスがお金と交換に企業(生産者)と家計(消費者)との間で取引される場を「市場(しじょう)」といいます。この他、企業間では中間生産物が活発に取引されていますが、これも市場取引です。 「市場では生産物の需要と供給が調整されます」 市場で取引されるときの目安や基準となるのが生産物の「市場価格」です。生産物の需要と供給が市場で出会って形成される価格は、需要が強ければ高く、供給が強ければ安くなります。価格によって需要と供給が効率よく調節されるこのような経済を「市場経済」といいます。 「政府の役割と市場経済」 政府の経済活動は企業と同じように「行政サービス」を生産し、対価を受取って民間へ提供しているようにみなせますが、そのサービスは市場で取引されているわけではなく、その目的は営利の追求でもありません。また政府の行う「公共事業」も国の経済では大きな役割を果たしています。しかしながら政府の役割が大きくなれば市場経済のメリットである効率性が妨げられる可能性があるのも事実です。 |
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| 「市場経済と円滑なおカネの供給」 モノ・サービスをつくり、売っておカネを手に入れ、そのおカネを用いて別の生産物を買う、つまり生産物はおカネを介して市場で交換されています。このように常におカネがからむ市場経済は「貨幣経済」でもあります。おカネの流れが滞ったり、おカネの量が不十分であれば経済活動は円滑に進みません。 (5)国の経済と貿易 「モノ・サービスの貿易」 「家計」、「企業」、「政府」の3つの主体以外で重要なのは海外要因です。日本の国内で生産された車・電子カメラ・機械などの製品が「輸出」されて、海外で使われています。他方では生産に必要な燃料・原材料・部品をはじめ、消費財など他国の生産物が海外から「輸入」されています。海外との取引はモノだけではありません。私たちが海外旅行をする、輸出入で海外業者の輸送サービスを使う、海外の保険会社の保険サービスを利用するなどはサービスの輸入にあたります。逆に日本の企業がこれらのサービスを海外の消費者や企業に提供するのはサービスの輸出です。このようなモノ・サービスの海外取引を「貿易」といいます。 |
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| 「高い外需への依存度」 輸出は国内の生産物にとって外からの需要(外需)を意味します。逆に、輸入はモノ・サービスが外から国内に供給され、国内需要が外に吸収されることです。国内需要(内需)が十分でない発展途上の国々にとっては生産物の販路を海外に開拓することが経済の成長にとってたいへん重要な課題です。しかし日本は成熟した先進国の経済に到達したといわれながら、海外取引については大幅な「輸出超過」を長年続けていて、先進国経済の中では「外需依存度が高い」特異な体質をもっています。 |
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| 「外国為替レートの影響度」 日本企業の海外との取引は米ドルなどの外国通貨(外貨)でなされている割合が高いので、生産物の価格と代金を日本円に交換するときの比率である「外国為替レート」は海外取引の需給関係に大きな影響を与えます。外需依存度が高いこともあって外国為替レートは日本経済に大きな影響を与えます。 3.金融の形態(間接金融と直接金融) 「おカネが介する経済」 私たち個人とその家庭(家計)、会社及び政府が「おカネを介してモノとサービスを取引」することが国の経済を形づくっていることをみてきました。誰でもモノやサービスを購入するためにはおカネを支払わなければなりません。私たち個人はもとより、企業でも政府でも、そのことに変わりはありません。このように常におカネがからむ経済は貨幣経済でもあります。 「おカネは経済活動の潤滑油」 おカネの流れが滞ったり、おカネの量が不十分であれば経済活動は円滑に進みません。しかしながら私達でも企業でもいつでも充分な手持ち現金があるわけではありません。手持ちのキャッシュのみだけOKとなると持ち家などはいつまでも手に入れることはできません。住宅の売上げが増えなければ住宅メーカーの利益の拡大も望めず、住宅資材の生産が滞り、新築に伴う家電製品の売上げも伴わず、経済は沈滞化するでしょう。 「金融はおカネの融通」 では、そこに住宅の購入のためのおカネを融通してくれる人が現れたらどうでしょう。借りた人は、現金を融通してくれた人に、時間をかけて利息と元本を返せばよいわけです。おカネを借りることで、欲しかった住宅が今すぐ買えますし、住宅会社も売り上げを計上できます。 モノやサービスがおカネを介して取引される貨幣経済では、必ず部門間でおカネの過不足が生じます。このような場合、おカネの余った人(部門)から、おカネの足りない人(部門)におカネが融通されることを「金融」といいます。 「金融と経済主体」 「私たち」が買い物をする時カードで決済する(借りる)ことや、「企業」が事業資金や設備資金を調達する(借りる)のも金融の役割です。「国」が道路や橋を建設する場合にも資金が必要です。税金だけでは足りない場合、国は国債を発行しておカネを集め(借り)ます。これも金融の一つです。このように、金融の働きなくしては現代の経済活動は成り立ちません。 「間接金融」 私たちが銀行に預金することは、銀行におカネを貸すことと同じです。厳密な意味では、銀行の発行する預金証書を購入する行為にあたります。集まったおカネ(預金)を銀行は、最終的な借り手である企業などに貸し付けます。銀行は、企業などが発行する借用証書や手形、債券、株式などを購入して資金を融通します。このように、銀行などの金融機関を介して私たち(貸し手)と企業(借り手)との間で間接的におカネが流れることを「間接金融」といいます。 「直接金融」 間接金融に対し、最終的な借り手の発行する債券や株式などの証券を、最終的な貸し手が購入することを「直接金融」といいます。例えば、私たちが国や企業の発行する債券や株式を購入すると、その資金は国や企業へ直接に融通されることになります。つまり、最終的な貸し手(私たち)と借り手(企業)がダイレクトにつながっていますので、直接金融と呼ぶのです(実際には、私たちは証券会社を通して債券や株式を買っていますが、買い付けに伴う資金移動ですから直接金融ということになります)。 ただし、同じ国債を購入する場合でも、私たちが金融機関から買う場合は直接金融ですが、銀行や保険会社が買う場合は、集めた預金や保険料で買っているため間接金融になります。 「リスクの負い手の違い」 間接金融と直接金融のもう一つの相違点は、金融機関が資金の最終的貸し手と資金の最終的借り手との間に立って、貸付けの「リスク」をとるか、とらないかの違いです。つまり、最終的なリスクを金融機関が負うのが間接金融で、負わないのが直接金融です。直接金融の場合、最終的なリスクはその証券を購入した投資家になります。 |
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| 4.金融市場と証券市場 「金融及び証券市場」 おカネが有るところ(資金の供給者=貸し手)と不足しているところ(資金の需要者=借り手)との間で資金の取引(=金融)が行われる場を「金融市場」もしくは「証券市場(資本市場)」と呼びます。 ![]() 金融市場においては、銀行・信託銀行・保険会社などの金融機関を通じて、預金等の受入れ、資金の貸付けといったように、主として「貸借取引(相対取引)」の形態により資金の取引が行われます。 一方、証券市場においては、証券の発行、取得・購入、流通(売買)といったように「証券取引」の形態により資金の取引が行われます。 「金融システム」 金融市場や証券市場は、おカネの仲介機能だけでなく、提供したおカネの回収(流動性の提供)や短期の借り入れを長期の借り入れに転換したりする機能を果たしています。そこにはおカネの提供者(家計等)から資金を集め、 それをおカネの需要者(企業等)に提供する役割を持った機関(金融機関・証券会社)やおカネの取引の安全性、公正性及び効率性を図るための制度やルール等が存在します。おカネの取引のために設けられた、このような市場の仕組みや様々な制度・慣行、金融の仕組みや制度、構造の全般を指して、「金融システム」と呼びます。 |
| 5.有価証券 「証券の種類」株式や投資信託は一般的に有価証券と呼ばれます。この有価証券もいわゆる証券の一部です。証券という言葉は極めて広範囲に使われていますが、大きく分けて「有価証券(財産権を表象し、それに記載された権利の行使や移転が、その証券によって行われるもの)」と「証拠証券(単に一定の事実を証明するもの)」の2つに区分されます。 「有価証券とは」 有価証券には、船荷証券や倉荷証券などのように、一定の商品又はサービスの請求権を表象する「商品証券」と、手形や小切手などのように貨幣請求権を表象する「貨幣証券」、さらに、株券や債券などのように、収益請求権など資本提供者の権利を表象する「資本証券」の3種類があります。 この内、一般に証券もしくは有価証券といえば、資本証券のことをいいます。資本証券には一般に代替性があり、一定の単位に分割が可能で、市場性(譲渡性)も高いなどの特性を持ち、現代経済社会の発展に重要な役割を果たしています。なお、預金証書や借用証書、受取証書などは、財産権を表象するのではなく、一定の事実を証明する証書であるため、これら証券は、有価証券ではなく、「証拠証券」に区分されます。 「有価証券市場」 有価証券市場は、機能面から「発行市場(Primary Market)」と「流通市場(Secondary Market)」に分類されます。発行市場とは、資金調達の目的で新規発行の証券が、発行者から直接あるいは仲介者(引受会社=主として証券会社)を介して投資家に第一次取得される市場のことです。流通市場とは、既発行の証券が第一次投資家から、第二次、第三次の投資家に転々流通する市場のことです。 |
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| この2つの市場は無関係なものではなく、密接不可分な関連を持っています。活発な流通市場がなく、いつでも所有する有価証券を換金できる市場がなければ、投資家は安心して証券投資をすることができないため、証券の新規発行自体ができなくなるからです。なお、流通市場で形成された証券の価格は、その証券に対する投資家の需給動向を端的に示すため、新規に証券を発行する場合、流通市場の価格を基準として発行されます。 「有価証券投資の収益」 私たちが株式や投資信託等の有価証券に投資する時、その投資の収益はどのように考えればいいのでしょうか。一般的には有価投資証券への投資収益は「インカム・ゲイン(Income Gain)」と「キャピタル・ゲイン(Capital Gain)」の2つから成り立っています。インカム・ゲインとは、銀行預金等の利息に当たるもので、債券の受取利子や株式の配当、投資信託の収益分配金などがこれに該当します。 |
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| キャピタル・ゲインとは、有価証券等の売買による収益のことです。つまり有価証券等は、銀行等の預金と異なり元本価額が変動します。このような投資元本の値上がり(値下がり)によるものを、キャピタル・ゲイン(ロス)といいます。したがって有価証券の投資収益はこの2つの収益の何れか或いは2つを併せたものということになります。 「オリエンテーションの終りにあたって」 証券外務員資格対策講座を受講される皆さんはこのオリエンテーションを終了されました。金融及び金融市場についてはるかに馴染みやすく感じられているものと思います。今や外務員資格対策講座に取り組まれる準備は万全です。それでも解りにくい内容があるかもしれません。くじけずに続けられることで必ずや道は開けます。ご検討をお祈りします。 |