■今週のひとこと■
提供: アイザワ証券


今週のひとこと 〜見せしめ〜

10月のある日。続々と上がる中国P株銘柄(民間企業)の不祥事報道を見ながら、S部長がため息をついた。「いい見せしめや〜なあ、もう」。
日本でも食肉の産地偽造事件など、不祥事が露見した企業はフクロにされるが、それはどちらかというとマスコミのバッシングと、それに煽られて騒ぐ消費者の非難によるもの。中国の場合は当局がすべて取り仕切っている。

中国産農作物の残留農薬問題というものも比較的記憶に新しいが、「バレなきゃ、何やってもOK」という罪の意識の欠落は日本人の特性だが、中国人民については「パクられなきゃOK」と、さらに一歩進んで堂々としているように思われる。かの地では「騙すのは賢い証拠、騙されたほうがバカ」とさえいう。

こんな調子だから「おいおい、いいのか…?」と言いたくなるような野放図から一転して「そこまでやるか!?」と唖然とするような締め付けが行われることがある。なにしろ「違反を罰する」ための処分ではなく、「お前らよく覚えとけよ」という意味合いなのだから。

話はそれるが、事故や事件報道にも、国民性の違いは現れる。かの地では加害者はおろか被害者の姿も、日本のマスコミを上回る勢いで暴露される。事故・事件現場の悲惨な写真など、強烈なものほど大きく、一面を使って掲載される。大火災の実況中継(?)がテレビで放映された時は、あまりの強烈さに情緒不安定に陥る人が後を絶たなかったという。

一方、現地メディアの事故・事件報道を見た日本人は口をそろえて「いや〜、気をつけよう」と火のもとや防犯に対して気を引き締めていた。
たしかに、くどくど説教するより他人の不幸を見せ付けるほうがよほど有効というもの。一理ある気が、しないでもない。(越)


今週のひとこと 〜働くアジア女性〜

ある日、T部長の中国出張報告会があり、そこで話題が中国人のライフスタイルに脱線。日常的に家族で外食して家ではあまり料理をしないという、中華圏や東南アジアでは当たり前の「外食文化」に話が及び、アジア株チーム以外のスタッフから驚きの声が上がりました。「家で炊事をしないなら、奥さんは何をしてるのか!?」と。

答えは「働いている」。掃除洗濯子どもの世話は親に頼むか人を雇い、共稼ぎでせっせと住宅ローンを返済します。投資にも励みます。これは私が香港時代に入居していたアパートの家主(女性)の話ですが、マイホームを買っただけでは終わらず、頭金を貯めて2つ、3つと物件を買いあさります。買った物件からも賃貸収入を得てローンに充て、将来は子どもに分けてやるんだとか。特に裕福とかではない、普通の勤め人オバサンが、です。

香港人OLも、当たり前に子どもがいて、当たり前に働いています。「移民する」とか「転職する」ため退職する人はいても「結婚・出産退職」は聞いたことがありません。彼女らが特に高待遇のキャリアウーマンだということもありません。

中華圏を中心にアジアで「女性の社会進出が進んでいる」と見えるのは、「子どもはジジババか子守りに任せて、母チャンは若いんだから野良へ出ろ」という農村的な生活様式によるものではないかと思います。低賃金で、お手伝いさんや子守りを雇えるのも重要なポイントでしょう。隣国から、あるいは国内の貧しい地域から、「おしん」のような労働力はいくらでもやってきます。

経済的価値が見出されにくい家事労働も、アウトソーシングすれば立派な経済活動。一つのリッパな産業になります。これもアジアの活気を支える要素じゃないでしょうか。(越)


今週のひとこと 〜コミックで見た「中国」〜

私の唯一最大の娯楽はコミックです。といっても描くほうはやりませんが。ちょっと前まで、コミックに描かれる中国の姿は、『三国志』などの歴史物か、『○ラゴンボール』のような冒険モノ、カンフーものが大半でした。しかし最近では、中国ビジネスやら、中国雑貨がかなり身近になったせいか、登場する中国の姿もかなりリアルになったと感じます。

私が愛読する週刊誌に連載されている作品で『取締役 ○耕作』というのがあります。この○耕作さん、よく分からないけれどトントン拍子に出世し、舞台もニューヨークだったりロンドンだったり、ベトナムかと思うと今度は京都から、と華やかに展開していますが、最近は現地法人社長(総経理)として上海に赴任されました。

上海では、先行する海外他社と現地メーカーとの挟み撃ちにあう日系企業の姿など、とてもタイムリーで興味深いのですが、特に私が「あれ?」と思ったの
が、○耕作さんの中国人秘書(もちろん才色兼備)の態度でした。

上海の街を彼女のガイドで歩いた○耕作さんは、地元っ子ご贔屓の店で昼食を摂ります。そこで、秘書嬢の分も一緒に会計をしようとしたところ、秘書嬢はキッパリとそれをはねつけました。それも半額ずつ払うよう申し出たのではなく、各自のオーダーした分だけを払うよう、速やかに支払額を計算します。○耕作さんはその彼女の姿にホレボレして「中国にもこんな人材がいたか」と信頼を増すのでした。

彼女のやり方は直属の○耕作さんには「欧米的に洗練されており、意識も高い」と好感されたわけですが、現実的に考えたら、中国人としてはかなり変わり者の部類ではないでしょうか? 中国で、上司(それも社長)に「私の分は私が払います」なんて突っ張ったらどうかと思いますが・・・。○耕作さんだってタテ社会の日本(それも最終勤務地は博多だった)からやってきた日本人です。彼女は果たして分かってやっていたんでしょうか? (越)


〜自転車の話〜(2002/10/7)

アジアというと「道路いっぱいに自転車が行き交う通勤風景」をイメージされる人がいるようです。ですがそれは主に中国本土のことで、香港なんかでは自転車に乗れない人が圧倒的多数。バス、ミニバス、地下鉄など公共交通機関が発達し、それも超過密都市のため乗り場までの所要時間が極端に短いためです。2階建てバスがうようよする街道ではタクシーすら踏み潰されそうで、自転車なんて命 懸けです。

台湾は、交通量はやはりスゴイのですが、香港ほど市内交通が充実していない(地下鉄などはありますが、広さが香港とは段違い)分、スクーターとかオートバイを利用する人がとても目立ちます。自転車を使う人もいますし、国内に有名なメーカーもあります(台湾9921、ジャイアント)が、どっちかというとスクーターが優勢に見えます。

スクーターといえば、ベトナムとかの東南アジア諸国でも、ふつうのOLさんやサラリーマンが通勤手段として愛用しているようですが、自転車を日常的に通勤通学に使っている人はそれほど多くないようです。日本国内でも、沖縄なんかは自転車を使う人が極端に少なくて、自動車&スクーター社会という感じでした。

自転車は燃料も免許も要らないのでリーズナブルですが、20分も漕いだらかなりの運動量です。トロピカルな気候の土地にはマッチしないのかもしれません。それはそうと、アジアン企業のニュースなどをチェックしていると、資金調達の目的がローンの借り換えだったり、現金の流動性も高いというか、「金は天下の回り物」というコトバが思わず浮かぶことがあります。「自転車操業」より、もっと馬力のあるところで「スクーター操業」といったところでしょうか。(越)


〜ネットベンチャー〜(2002/9/10)

チョンコン(香港#0001)系でGEM上場のトムドットコム(#8001)が、中国の出版業に着手するそうです。パートナーは三聯書店という、北京を基盤にした本屋さん。チャイナ・ウォッチャーを自認する人ならば一度はお世話になっていると思われます。新聞以外の活字をほとんど読まない、出版砂漠の香港にあっても、トラム沿線にある三聯書店にはいかにも「読書人」といった人々が集まり、物静かな雰囲気を醸しています。

トムドットコムはといえば、香港きっての御曹司リチャード・リーの会社で、何かと注目を集め、やることも派手。私の昔の知り合いが一時勤めていたことがありますが、あっという間に業務売却に遭ってしまったそうです。

知人が担当していたのは、ウェブでの中国観光ガイド。ネットバブルに乗って立ちあげたものの、売り上げや利益をどう計上するのかが不明なまま走り出してしまい(!?)、借金が膨らんですぐに首が回らなくなったらしい。しかし待遇は良く、知人の場合で給料は前職の2倍、残業はナシで解雇手当てもしっかり貰えたというからスゴイ。

「失敗を恐れず、まずはチャレンジ」と意気込みだけで何か始めるのは、香港企業にもベンチャー企業にもありがちなこと。外資企業としては初めてとなる中国出版業界への進出、くれぐれも後進の妨げとならないよう、リチャード君には心してかかって欲しい――と願う、市井の民です。(越)


〜大手とは〜(2002/9/2)

アジア株についての問い合わせで、「何々業界で大手と言われる銘柄を教えてく れ」というリクエストを受けることがあります。韓国のサムスン電子(エレクトロ ニクス)とか台湾のフォーモサ・プラスチック(台プラ)みたいな超有名銘柄が挙 げられればいいのですが、結構悩んでしまうのが、中国マーケットについて、で す。

日本でも、例えば「中京地区ではトヨタのシェアが全国水準より高い」とか「沖 縄で一番売れているビールはアサヒでもキリンでもない(オリオンビールがトップ )」といった地域性があると思いますが、中国の広さは半端じゃない(日本の26倍 )。当然、経済格差も他の国以上にスゴイし市場は発展途上真っ盛りなので、単純 に売り上げや店舗数だけでは優劣をつけがたいことがあります。

特に自動車業界では、最大手の第一汽車が株式投資の対象とならない(B株やH 株を上場していない)ので、他の企業を紹介するときには、合弁・提携先や専門分 野など規模以外の特徴をポイントにすることになります。

当社のアジア担当アナリスト、ササキ氏は、台プラグループの王永慶氏を「台湾 の松下幸之助」に例えて話を盛り上げます。ではもし、香港の李嘉誠氏(現地では 言わずと知れた、現役カリスマ財閥総帥)に相当する、日本産業界の「超人(スー パーマン)」をひとりだけ挙げろ、と香港の顧客から求められたら? 李嘉誠に匹敵 するキャラ・・・いたら日本経済が激変しそうな気がするんですが・・・(越)


〜中国人の「気合い」〜(2002/8/26)

「この製品はとっても優秀なの。どんなに強く閉めても、ほら、跳ね返ってこないわ」――。ある週末、TVで某大手メーカーをテーマにした番組を見ていたときのこと。中国戦略についての場面で、中国の販売員が客にむかい、機関銃のようにセールストークを浴びせていた。販売員は冷蔵庫のドアを、あらんかぎりの力をこめて、ばっし、ばっしと開け閉めしていた。

こんなに強く開閉するかふつう? とツッコミを入れたくなる勢いのよさだったが、まあ中国人家庭では、こんなものかもしれない。電話の切り方でも、日本人は「ではよろしくお願いします」とかなんとか言ったあと一呼吸おいて受話器を置くが、中国流では「OK!じゃっ!」の最後の「っ」で受話器を「ばんっ!!」と叩きつける。店に多い壁掛け式電話機だと、勢いあまって所定の位置から受話器が外れ落ち、コードがびよよんと伸びて垂れ下がってしまうことがある。

販売員さんの売り込みかたも然り。相手を自分のペースに巻き込む気迫に満ちており、気圧されて落ち着いて買い物ができないと嘆く日本人もいる。そういえば最近、ササキ氏が上海フレンドシップ(上海:コード900923)という小売店を視察してきた。「売り場が広い」「品物が多くて安い」などと言いながら至極ご満悦で帰国したササキ氏。「アジアは元気イッパイ」が口癖のこのお方、中国的・怒涛の商品アピールには、おおいに触発されるものがあったに違いない。(越)


〜中国みやげ〜(2002/8/13)

ササキ氏が上海から空輸してきた出張みやげは「天津甘栗クリームの入ったクッキーサンド」。通好みな中華菓子のおみやげを想像していた一同には「予想外に(!?)シャレたセレクト」と好評で、ササキ氏の現上司であるA部長と、しばし「中国みやげ」談義をかわしました。

A部長はかつて上海に出張したとき、デパートで買い求めた中国製の筆と墨が、書道を嗜むご家族に好評だったとか。私、といえば日本企業が現地生産しているカップラーメンやレトルトが定番です。「スパイシー・シーフード・ヌードル」とか、日本にはありそうで無い味がお勧めです。少々かさばりますが、中国語で書いてある説明もウケるし、なにより安い。

私が過去に外国人の友人に贈った日本製品で最も喜ばれたのは、手のひらサイズのソーラー電卓でした。1000円もしないありふれた品でしたが、このコンパクトさと耐久性は、友人のイメージする「ニッポン」にハマったようです。彼女は10年近くも、この電卓を愛用してくれました。

「中国3000年の歴史と文化」、「安くてちょっと変わった食料品や衣料品」――。 中国の技術力が注目されつつあるとはいえ、現実に手にする中国製品といえば、今まだこんな感じなのでしょう。でもそのうち、中国オリジナルブランドのデジカメとか、 なにか画期的なおみやげを手にするかもしれませんよ。(越)


〜香港的・非職人気質〜(2002/7/29)

ボートー・インターナショナル(寶途集団、#585)という会社があります。いわゆる大企業とは違いますが、業界ではちょっと有名・・・クリスマスツリーの製造で世界トップシェアを誇った会社です。誇った、というのは今年の春、突然その本業を売り払って転業してしまったからです。

日本だと、下町の中小企業とか町工場が時として世界屈指の技術を持っているケースがあります。そういう会社が安い海外製品に押されても商売替えをせず、さらに良質な製品を開発して盛り返した・・・というエピソードはNHKで美談として語られます。

これは日本人が農耕民族で職人気質が重んじられるためで、移民難民の集まりである香港では利潤が第一、そのためには1つの業種に固執しない柔軟さが求められたりします。チョンコン(長江実業、#1)はかつてプラスチックの造花で世界に進出しましたが、その後はプラスチック業に邁進することなく、不動産デベロッパーとして屈指の財閥に成長しました。

人も会社も「転職」がさかんな香港ですが、上場企業の転業には最近「待った」が かかってきています。冒頭のボートーや、中国の政府系企業だったシェンヤン・ユー ティリティー(瀋陽公用、#747)が続いて本業の放棄を決めたのが契機となり、取引所では「本業を手放したら上場資格を見直す」という提案がなされています。

良くも悪くも「柔軟」な香港企業の体質は変わらないにしても、株式上場という一 大イベント前には生業を固めておけ、というお達しでしょうか。モラトリアム傾向の 強い日本のバブル世代には耳の痛い話かもしれません。(越)


〜痩せるお茶〜(2002/7/22)

中国では「減肥茶」つまり痩せるお茶がよく売られています。味は安めの烏龍茶のような、プーアル茶のような感じです。
私は以前中国の学生寮に滞在していたとき、これを飲みつづけた日本人女性が体調を崩して寝込んだ現場に居合わせたことがあります。

そのお姉さんは、ダイエットの必要などなさそうな人でしたが、毎日、ず〜〜っと、そのお茶を飲み続けていました。
おしゃべりしながらとか、お菓子をつまみながらとかではなく、本当にお茶だけ。部屋に備え付けのポットのお湯は、毎日お姉さんが1人ですべて使ってしまったほど。クセの強い中国茶を、こきゅ、こきゅと飲み続ける音がいつも鳴っていました。

それから10日ばかり経ったころでしょうか。日本人女性数人が胃の痛みを訴えて寝込みました。その数人に共通していたのは、「やせるお茶」をかなり飲んでいたこと 。翌日、翌々日と1人ずつ回復してきましたが、一日じゅう、こきゅ、こきゅとお茶 を飲んでいたお姉さんは、最後まで倒れていました。

お姉さんは、ダイエットだからと食事も制限してお茶ばかり飲み、胃を荒らしたの です。中国人からは「お茶は脂を溶かすから、食べながら飲まないとだめだよ」と叱 られました。そういえば中華料理を食べていると、薄いお茶を入れたフィンガーボールが出てくることがあります。普通のお湯や水では脂が取れないからです。

最近、GEM上場した長江実業系のCKライフサイエンスは、健康食品とかエイズの治療薬など人体の免疫作用を高める製品を作っています。副作用は少ないそうですが、 乱用する人が現れないことを願います。薬と毒は表裏一体、お茶だって不自然にごぶ ごぶ飲んだら病気になるのですから…(越)



〜なぜ、アジア株〜(2002/7/8)

株式投資のマジョリティーは、ある程度の年代に達し資産を貯えた男性ですが、アジア株に関しては、若い人や女性の姿が目立ってきているようです。なぜ従来の投資家と違う層が台頭しているのか、どうして日本株でなくてアジア株なのか、独断と偏見で分析してみました。(*あくまで筆者の私見です)

その1.投資単価が低い

 韓国株は10株、中国B株は100株から買えます。香港株は1000〜2000株単位のことが多いのですが、それでも数万円から投資できる銘柄がたくさんあります。
あまり取引額が小さいとかえって手数料が割高になってしまうので、ある程度まとまった金額は必要ですが、単価が低いことはビギナーにとって、心理的に入りやすい条件ではないでしょうか?

その2.アジアに対する親近感がある

 香港、韓国、台湾は、近くて行きやすく、食事、買い物、観光にも便利ですから、日本人の渡航先としてトップクラスです(かつては香港、最近は韓国が第1位だ
そうです)。特に、旅行好き(女性に多いですね)だったら、これらの国のいずれかには1度ならず行ったことがあるかもしれません。観光やビジネスを通じて、アジアの息吹を肌で感じる機会があれば、アジア経済も身近なものになりやすいでしょう。

その3.財テク流行り

 30代ともなれば、独身を通すにしろ家族を持つにしろ、先立つモノが気になります。しかし今時、年功序列による昇給も、定期預金の金利も、老後の年金もあまり当てにならない。だったら投資でもしてみようか…という判断もありえるでしょう。香港人などは老若男女を問わず株式投資をしている人が珍しくありませんが、一説によると「給料が上がらないから、副業や投資で副収入を得るしかない」のだそうです。

・・・どなたか、思い当たるフシはございませんでしょうか? (越)


〜公休日〜(2002/7/1)

韓国では今日7月1日をワールドカップでの韓国チーム第4位を祝し、臨時公休日としました。
この1ヶ月間、特に決勝トーナメント期間中は官民あげての大フィーバーで、仕事も進まず、興奮しすぎてロクに寝てもいない――という状況だったそうです。

昨夜ようやく決勝戦が終わり、今日は「お疲れ休み」かと思いきや、ソウル市内で大パレードとのこと。同じ共催国ではありますが、日本だったら例え優勝していても、こうはならなかったでしょう。こういう韓国国民のノリの良さ、団結力には恐れ入ります。

やはりアジアの公休日で「やってくれるな」と思うのが、香港の「中秋節の翌日」という休みです。旧暦9月15日(今年は10月13日)は「中秋の名月」で、友人や親戚が集まり夜遅くまでドンチャン騒ぎをします。その結果、翌日は寝坊したり二日酔いで仕事にならない人が役所、企業問わず続出する。「だったら翌日は公休日にしてしまえ」、というのがことの起こりといいます。

W杯休みといい、夜更かし休みといい、日本人としては「マジメに働けよ〜」と思ってしまいますが、どちらの国も経済成長では日本を上回っています。アジアンパワーの源は、ニンニクや香辛料だけでなく「遊び」を肯定する姿勢にもありそうです。

〜ある個人投資家の話〜(2002/6/25)

私の知人の話です。その人は数年前から香港株を売買しています。

株式投資を始めたのは、アジア経済危機後でだいぶ安くなった頃でした。その後、政府のてこ入れ策で株価が反発しはじめ、しばらく株の儲けで生活費を捻出していました。その頃は、テレビやインターネットを駆使して株価をチェック。1日に何度も売買注文を出し、すごい時は、昼食前に買った銘柄を食後すぐに売ったこともあるといいます。

ついつい羨んでしまう暮らしぶりですが、本人いわく「経済紙を毎日読み、取引時間内はずーっとテレビ(有線放送でリアルタイム株価が見られる)やパソコンのモニター前から離れられない。真剣にやったら、時間と労力はフルタイムの仕事とそう変わらない」とのこと。しばらく他のことにかまけていたら、手持ちの株は、あるものはいつの間にか取引停止に、またあるものは下がりっぱなし――で、やはり片手間ではダメだと思ったそうです。

ちなみにその人は「安いから」と中国関連銘柄をたくさん買っていました。スーパーの特売だって、賢い買い物をするには、人一倍マメに広告や品物を見比べないといけません。株だって基本的に同じ、ということのようです…

〜外国人料金〜(2002/6/17)

最近はだいぶ緩やかになったようだが、ひと昔まえの中国では、日常生活のあらゆる面で「外国人」と「中国人」が区別されていて、若干の付加価値をつけたサービスに数倍の価格差が設けられていた。

例えば、列車の座席。外国人は専用窓口で、1等寝台・座席に当たる「軟臥」「軟座」を売りつけられた。それが嫌ならば中国人になりすまして中国人窓口に並び、バレればあの手この手で服務員にお目こぼしを願うのがセオリー。ちなみに当時はオンラインによる発券システムなどなく、すべて手作業。限られた乗車券をどう捌くかは、主に服務員(職員)の裁量に任されていた。

1等寝台といっても日本国内の旅費から見れば安い金額だが、気持ち良く差額を払えるだけのものか?という疑問があった。それにひと括りに「日本人(金持ち)なんだから、高いの使いなさいよ」といわんばかりの扱いが嫌で、私はあえて中国人窓口へチャレンジしたことがある。ところが窓口は殺気立った人々であふれ、私などあっという間にすみに押しやられて1日が過ぎてしまった。近くには、途方に暮れた顔の中国人一家も、荷物を抱えて立ち尽くしていた。

その後中国は飛躍的に豊かになり、物価も上がった。だがぜいたく品の類に関しては、むしろ昔ほど割高感がなくなったと思う。今だったら私も、意地で1等の切符を拒絶することはないだろう。(越)

〜トイレとパンツ〜 (2002/5/27)

最近のキレイなマンションや団地はともかく、中国の伝統的な庶民向け住宅にはトイレがないことがしばしばある。その場合は江戸時代の長屋よろしく、路地ごとに
ある共同トイレを使用するのだが、これがいわゆる個室になっておらず、お互いに顔ばかりか尻も丸見えとなる。

ちょっと前の上海地方では「馬桶(マートン)」というオマルが各家庭に常備されていたが、これも使用中の様子がバレバレになる。また幼児は、ズボンの股部分を縫い合わせていない「股割れズボン」を着用。とある郊外の町では、パンツなしのスカート姿で遊び、そのへんで気軽に用を足す子どもを見た。

最近、特に都市部では、こういう大らかな風景に出くわしにくくなっている。それと同時に中国国内で入手できる下着の質は飛躍的に上がった。それに幼児用のパンツ型紙オムツも売れ行きが伸びているらしい。

出生率が下がるほどに、子どもにかける費用が増すのが世の習い。そして個室型のトイレが増え、お尻が人目に触れなくなるほどに、下着も高価になっている。(越)


〜中国製品〜 (2002/5/20)

これは以前、私が実際に読んだ香港の経済記事です。「最近、中国製の衣料品を買いつける日本のバイヤーが増えた。これは不景気だけでなく、日本の住宅事情に理由がある。日本の住宅は狭く、洗濯機を置いたり洗濯物を干すスペースがない。外で洗濯をする(コインランドリ―のことか?)と、1回に数百円もかかり割高。このため日本人には、安い服を買い数回着て洗わずに捨てる習慣がある…」

んなわけないでしょ!? と私はびっくりしました。でも現地の人は意外とこれを読んで納得しているかもしれません。現地の住宅事情は日本より悪く、私が物件を見てまわった印象では、洗濯機置き場や物干しがないアパートは、日本よりはるかに多いと思われます。それに露店では、中国からの工場流れ品がフリマ以下の値段で叩き売られていました。

近年、日本で中国製の衣料品やアジア製の小物を見る機会は格段に増えました。これらは安いのが魅力ですが、売れる理由は「不況」だけではないでしょう。

そういえば昔、私が中国の国営デパートで買ったトレーナーやシャツは、デザインのスゴさもさながら、一度洗濯したらたちまち襟や袖が伸びるという代物でした。当時と比べ、中国製の衣類は格段に質やデザインが良くなっています。もうもったいなくて使い捨てにはできないと思うのですが…(越)


〜中国インフラ投資〜 (2002/5/13)

1997年。マカに近い広東省のある都市を、若い日本人女性が訪れた。そこはいわゆる観光地ではなく、工場などが点在する街で、彼女は現地の日本企業を訪れた後、1人で市内を見てまわった。そして発展を続ける中国の姿を写真におさめたりしていたそうな。

そんな彼女の姿を見て、地元住民が声をかけてきた。「お姉さん、観光かい?」そう言ったあとで、ビルや工事現場の写真ばかり撮る観光客もいないものだと思ったのだろう。「出張かい?」と聞きなおした。

彼女は記者で、その日は日本企業の中国工場を取材したところだった。しかし、中国は外国メディアの入国を制限している。よって外国人記者は観光客のふりをして、税関はもちろん一般市民にも仕事内容を隠すことがあった。たまに、公安にチクられることがあるためだ。彼女は笑ってごまかそうとした。

聞いたほうは一瞬首をかしげ、次いでピンときた顔をした。「そうか、あんた投資しに来たのか!?」その人は目を輝かせ、口調にも熱が入ってきた。「ここはいいぞ、なにしろ来年には高速道路が完成するんだ。絶対もうかる!」彼女はあたりを見まわした。そこはさびれたムードが漂い、建設土台もなにも、高速道路建設とやらをうかがわせるものはなーんにも、なかったそうだ。

それから数年がたつ。かつて政府が投資回収率を保証して多額の外資を集めた、中国インフラ事業が大赤字を出したことをネットで知り、この話を思い出した。あの土地にはもう、高速道路とやらはできたのだろうか?(越)


〜ハマる中華航空〜 (2002/5/7)

台湾のフラッグキャリア、中華航空(コード2610、台湾)にも熱烈なファンがいます。台湾好き、チャイナドレス好き、バックパッカーなどに愛用者が多いようです。ですがここほど、利用客の好き嫌いが分かれる航空会社はないのではないか? という気もします。

中華航空はよく墜落しています。キャセイ・パシフィック(コード293、香港)が欠航すると「ああ、またストか」と思いますが、中華航空が遅れると「また事故か?」と思ってしまうほどです。日本では1994年春に名古屋空港で墜落事故がありました。ほかにも(確か)1996年にインドネシア便が台北空港で似たようなパターンで墜落しています。1999年夏には香港新空港で、機体が台風にあおられて仰向けにひっくり返りました。

海外便としては唯一、羽田空港を使うので、関東南部からのアクセスが便利、という説があります。私はそう思って利用しました。ところが、台北でトランジットをした時に会社側の都合で接続便が飛ばず、5時間ほど待たされたあげく、1便あとに振り替えられました。そのうえ、搭乗口でお客がまだ右往左往している間に、スチュワーデスさんたちはチャイナドレスの裾をひるがえし、にこやかな笑顔で引き上げてしまいました。

しかしサービスについては、ユナイテッド航空のド迫力クルーなどに慣れていると「こんなもんか」と思うかもしれないですね。私はユナイテッドが機材の不調でキャンセルになった時、西洋人の迫力に負けて後回しにされまくり、大幅に時間をロスしました。それも他のフライトに振り替えられたはずが、乗り継ぎ便の乗客名簿に登録されてなかったとかで、だだっ広いシカゴ空港のカウンターにぽつんと放置され、恐ろしい思いをしました。

そもそも航空事故に遭う確率なんて、いくら高くても自動車事故に遭う確率よりはるかにマシ――というのが支持派の論拠でもありますが、実際どうなのでしょう。「事故が多い」と評判なら、大韓航空もなかなかなものです。大韓航空にも、こういうファンはやはりいるのでしょうか?(越)


〜キャセイのスチュワーデス〜 (2002/4/15)

返還の頃に起きた香港ブームで、「香港で働く女性」なるものがやたらメディアで注目されました。その頃現地にいた日本人特に女性は、テレビや雑誌の取材だの「知り合いの知り合い」を名乗る知らない観光客に、1度ならず生活をかき乱された経験があると思います。それぐらい、あれはすごかった。

そんななかで困ったのが、在住邦人女性にセクハラぽい言動をぶつける人が少なくなかったこと。「日本を飛び出してはみたものの、夢破れて香港で不遇の日々を送る女性」がたくさんいる、というイメージをメディアが作ったらしく、勘違い野郎が続々と香港に上陸してくれました。

「キャセイの日本人スチュワーデスが、アルバイトで日本人ビジネスマン向けに水商売をしている」という噂もあったらしい。キャセイ・パシフィック(コード293)といえば、香港のフラッグキャリア。香港好きの日本人にとって「キャセイのスッチー」は、象徴的な存在なわけです。そういう高嶺の花が夜遊びの相手をしてくれるという話ですが、真偽のほどはともかく、ご当人たちには、迷惑な噂だったろうとお察しします。

キャセイは日本人など外国人スタッフも多く、高待遇なことで知られています。労使紛争では圧倒的に雇用側有利の香港にあって、最もよくストライキをすることでも有名です。同じく現地企業で働く日本人としては、やっかみたくなる時もあります。てことはこういう噂って、キャセイの人たちにとっては「有名税」というやつでしょうかね?(越)


〜西部大開発の話〜 (2002/4/8)

「西部大開発」…。中国政府のビッグプロジェクトで、経済的に遅れた中国奥地に新しい鉄道を通したり、砂漠から沿海都市へ、とんでもない長さのパイプラインを作って、経済発展を促そうというもの。わが社のアジア株部門の看板、イチロー・ササキ氏は、英語風に「ゴー・ウエスト政策」と呼んでいます。

プロジェクトで重点的に開発されるのは、甘粛省や新疆ウイグル自治区など。「シルクロード」で知られた地域と言えば分かりやすいかもしれません。中国が唐と呼ばれ、今と同じぐらい活気にあふれていた時代、三蔵法師や中国の商人が人生をかけて目指した「西域」と呼ばれる土地です。

ところで昔、ドリフターズが出演した人形劇で『飛べ!孫悟空』というのがありました。そのテーマソングがやはり「ゴー・ウエスト」という名前で、ササキ氏が「西部大開発」の話をするたび、私はどうしてもこれを思い出してしまいます。
西部劇ぽい軽快な曲で、NHK「シルクロード」のテーマ曲とはまた違った楽しさがあって、一度聞いたら結構忘れないと思います。

「西域」というと「異郷の地」や「異民族との交流」みたいな、壮大な「シルクロード」の世界が目の前に広がってくるのですが、「西部」はどっちかというと、一攫千金を夢見る感じですかね。

そういえば中国で「大開発」される地域といえば、貧富の問題も大きいですし、少数民族の独立運動などがよく起っています。大開発された「西部」で、豊かになるのは誰なのでしょう?それによってはまた新たな火種にならないかな、とちょっと心配です。(越)


〜香港的銀行倒産〜 (2002/3/25)

これは香港在住邦人から聞いた、どこまで本当か分からないエピソードである。

60年代に金融危機があり、当時地場系最大手だったハンセン銀行(香港:コード11)に倒産の噂が流れた。そのとたん、山の中腹にある住宅街から次々に人が飛び出し、一斉にドド〜〜〜〜!!!と山を駆け下りていく姿が目撃されたという。目指すはダウンタウンのハンセン銀行だ。あるものは自分で、あるものは使用人に命じて、またはメイドさん達が自分自身で、預けた全財産を銀行から取り返しにかかったのだ。

ところがハンセン銀行には、殺気立つ市民全員に払い戻すだけの現金がなく、客は立ち尽くす窓口担当者に掴みかからんばかり。そこへ颯爽と現われたのが、香港上海銀行(コード5)の銀行マン。同銀発行の真新しい香港ドル紙幣を大量に取り出し、「さきほど、この銀行はわが香港上海銀行が乗っ取った!」と宣言して、札束をばら撒くように客をさばいたとか…

知人の脚色がだいぶ入っているだろうが、ハンセン銀行が取りつけ騒ぎで香港上海銀行に買収されたのは事実。そして、銀行倒産の噂を聞き、預金の全額引き落としに走った市民の判断も、間違ってはいなかった。

倒産するような銀行にカネを預けたほうが悪い、と見なされるのが 香港式。 「ペイオフ」などハナから関係ないのである。(越)


〜中華ファーストフード〜 (2002/2/25)

香港人の女の子に「チキンを食べに行こう」と誘われた。連れて行かれたのは骨付きチキン専門の中華風ファーストフード店。けしてケンタッキーフライドチキンのことではない。

ギトギト脂をものともせず、妙齢の女性が大口を開けて骨付き肉をほおばる様は壮観だ。また好みの麺と具を選ぶ「車仔麺(ちぇーじゃいみん)」の店先では、野菜や豆腐、つみれなど、比較的おとなしめのトッピングに走りがちな日本人を尻目に、幼顔の女子中学生が、各種モツ煮や豚の血プリン、巨大な魚の唇などのヘビーな具をドンブリに満載している。

モツなんかは比較的日本人にも馴染みのある食材だが、真っ昼間からバクバク食べる人は多くないだろう。ましてや栄養よりもファッションやダイエットに命をかける日本の10代にはなかなか手が出まい。

大家楽(カフェ・デ・コーラル、コード341)や大快活(フェアウッド、コード52)といった大手ファーストフードチェーンでは、サンドイッチや飲み物もあるが、中心は肉類たっぷりで油っこいメニュー。あまり洗練されているとは言いがたい。だがマクドナルド同様、暇つぶしやお喋りがしやすい雰囲気があるせいか、女性客の割合は日本の牛丼屋より高いようだ。食事をつい抜いたり、軽いもので済ませがちな日本人としては、華人パワーの源を見せつけられる思いである。(越)


〜酒の話〜 (2002/1/28)

中国で白酒(バイチュウ)を試したことがある。アルコール度数が高くクセも強いので、慣れないとなかなか飲みにくいと思った。気軽に楽しめるものとしては、黄酒(ホアンチュウ)の一種である紹興酒がお勧めかもしれない。いずれにしても中華料理は味がはっきりしているので、合わせるお酒も必然的に濃厚なものが多くなる。

中国のビールと言えば青島ビール(チンタオ・ブリュワリー、香港:コード168)。青島にドイツ租界が設けられていた歴史を背景に生まれた、重厚な味わいのビールだ。現在、燕京ビール(北京控股=コード0392=系)、粤海ビール(グアンドン・ブリュワリー、コード124)などもシェア拡大中だが、日本やアメリカから輸入されたビールに比べると、いずれもキレやのどごしの良さより飲み応えを追求した味に感じられる。

ワインについても同様の傾向があるようだ。中国で好まれるのは、こってりした中華料理に合う赤ワインだ。西部の新疆はブドウの産地なので中国産ワインも作られている。カリフォルニアワインやチリワインなどを飲み慣れた人には違和感があるかもしれないが、素朴な感じで、私は嫌いではない。

中国北部はともかく、南部、特に香港はどちらかというと酒に無頓着な土地柄らしい。香港に多いインド料理屋で食事をしていた時など、人肌を超えるほど温まった赤ワインのボトルを出されたことがあった。その時は「赤ワインは室温で、というからきっとこれは『インドの室温』なのだろう」と笑って済ませてしまったが、やはりクレームのひとつもするべきだっただろうか。(越)


〜観光客の話〜 (2002/1/21)

バブル期、円高期そして返還前の「香港見納めブーム」と、長年日本人の海外渡航先NO.1は香港だった。ペニンシュラ・ホテル(香港&上海ホテル、コード45)を中心とする有名ホテルのティールームやブランドショップのお客は過半数が日本人観光客。店員らは怪しげな日本語を使ってニコリともせず商品の名前と値段を繰り返し、客のほうもあらかじめ狙いをつけておいた商品を黙々と買い漁るだけという、独特の空間があった。

観光客がよく利用するレストランでは「日本語メニュー」が用意されているが、これまた怪しげな日本語で、しかも店にとって利益率が高いと思われる料理が優先的に書かれ、安くて人気のあるメニューは載っていなかったり、ひどい場合には同じ料理なのに値段が水増しされているというから要注意。挙句の果てはホテル宿泊料で「日本人価格」が公然とまかり通っていることが日本のメディアで報道され、ちょっとした物議をかもした。

欧米人はクレームもきついが、その結果サービスが改善して気に入れば、リピーターになってくれる。でも日本人からは文句も誉め言葉もないし、気に入らなければもう2度と来なくなるだけ。どうせ一見客だったら、取れるモンは取ったが勝ち――と商売人達は口をとがらす。

自分が何を欲しているか相手にきちんと伝えるためには、「旅行の楽しさを損なわないために、揉めてはいけないのでは」と考えてしまう、ことなかれ主義は時として通用しない。そう言えば、返還後に激増した中国人観光客は、日本人に劣らず買い物や食い道楽をするが、日本人とはどこか気合が違っているように見える。(越)


〜マンションの安全性〜 (2001/12/26)

NYの同時多発テロをTVで見て「だから高層ビルって怖いんだよな〜」と思った方々。確かにそうかもしれない。香港にも、地上30階、40階という高層オフィスで働き、おまけに自宅も高層マンションというビジネスマンがたくさんいる。日本人駐在員氏の多くも来港と共に終日にわたる高層ライフを余儀なくされ、「地に足のつかない暮らし」の落ちつかなさを嘆きあったりしている。ちなみに「香港には地震がない」という前提のもと、耐震設計を考慮に入れていないビルがほとんどらしいので、何かあれば建物がハリボテのごとく崩壊するのは間違いないだろう。

新宿歌舞伎町の雑居ビル火災のような事件もたびたびある。はしご車も届かず、スプリンクラーも設置されていない旧式ビルでは、ひとたび火災が発生すると上の階からの脱出はかなり困難だ。TVB(コード511)はじめ各メディアは、炎に包まれていくビルや犠牲者のようすを実況中継で伝え、恐怖感を増幅させてくれる。

だったら低い階は安全かというと、窓などを破っての強盗や空き巣事件は低層階で比較的よく発生する。特に5階以下は「賊」が水道管をつたって侵入しやすいという。その他、同じマンションの住民に留守がちな独り暮しを見破られて狙われた話や、出入り業者を装ったオフィスでの盗難事件も、紙面や噂話のネタになる。

マンションの周辺も油断はできない。太古城(スワイヤ・パシフィック=コード19=系)は、小金持ちや日本人駐在員ファミリーが好んで住む物件として知られている。マンション内のセキュリティ対策はまずまずで、入居者の質も悪くないのだが、ビルの外は夜ともなると人気が絶える。実際、管理人の死角をついての強盗事件が発生したことがある。

こういうアジアの超過密都市で快適に暮らすことは可能か?どうも憧れや賛美を口にする人よりも、文句ばかり言う人のほうが長居をする傾向にあるようだが…(越)


〜酒楼〜 (2001/12/12)

やっと残業が片付いた後、そのまま帰宅するのが物足りなく感じられるのは日本人のサガ。香港でも「ちょっとゴハン(ビール)でも」となるのだが、酒飲みが日本や韓国ほど市民権を得ていない香港では、なかなか適当な店がない。日本風の居酒屋もあるが、あまり大衆向けのお値段ではない。

こういうときや、日本から来た友人知人と待ち合わせて食事をしようとするとき、重宝するのが「酒楼(ジャウラウ)」と呼ばれる中華レストラン。特に太湖(タイウー)、徳興(タクヒン、コード611)といったチェーン店が利用しやすい。

観光客向けでもなく、マニアックでもない。お酒の種類はさほど多くないが、サンミゲルビール(サンミゲル・ホンコン、コード236)やカールスバーグ、青島ビール(チンタオ・ブリューワリー、コード168)、紹興酒ぐらいは飲ませてくれる。朝から昼まではヤムチャ、夜はこれからの季節だったら広東風火鍋がメインだ。鍋物が嫌いという人はそういないし、日本人好みのギョーザや野菜といった無難な具を中心に選ぶことも、エスニック感を楽しむこともできる。もちろん普通の中華料理を頼んでもいい。

それに繁華街のわりと分かりやすい場所にあることが多いので、現地集合がしやすいメリットもある。それにテナントの入れ替わりが激しい香港では、
個人経営の店だと、数日前に食事をした店が消滅していたり、経営者が変わって名前も内容も一変しており、待ち合わせの用をなさないことがよくあるからだ。

徳興に関して言えば、個人的に気に入っていたのが、夜9時から出してくれる(注:季節にもよるらしい)点心類だった。点心は普通、朝から昼過ぎにつまむものだ。しかし昼にゆっくりヤムチャをするほどのヒマがなかったり、小人数でお茶やビールを飲んで軽く食べたい時には、夜のヤムチャが嬉しい。昼間と違い、ワゴンと客がひしめきあう活気にたじろがなくていいのも気楽だった。(越)


〜税金の話〜 (2001/11/21)

香港の税金(所得税)システムは、累進課税方式ではない。世帯当たり年収が一定額に達しない人を除き、基本給に対して一律約15%が課税される。月収が1万HKドル=約15万円前後の安サラリーマンも、何十万ドルも稼ぐ経営者もだ。トランプの「大富豪」と同じで、豊かな人ほどラクができる仕組みだ。

また所得税は給料天引きではなく、年に一度まとめて請求書が送られてくる。住民税とか年金、健康保険、雇用保険に当たるものもないので、額面所得が同じならば日本よりも香港暮らしのほうが、手取り額が多く見えるのがミソだ。

月収の15%は税金のために貯金しておかないと、年明けにやってくる支払い時に手持ちがなくなる。ボーナスは、年末に「ダブルペイ」と呼ばれる基本給1ヵ月分の手当てが出るだけ、という会社が多い。これを税金用に回すという考え方もあるが、会社が経営不振を理由に支払いカットを通告してきて揉めることもありえる。

特に勤めはじめたばかりだと、入社月によっては年明けの請求が来ず、翌年に2年分まとめてやってくる。支払いをすっぽかして日本に帰ってしまおうと考える輩もいるが、税務局から税関にブラックリストが届いていて、支払いを済ますまで出国させてくれないという噂だ。請求書が届く前ならば税関カウンターですぐ捕まることはないが、次回入国しようとした時(何年後であっても、観光目的の短期滞在であっても)に同じ目に遭うらしい。

税金が捻出できない市民のため、香港上海銀行(エイチエスビーシー・ホールディングス、コード5)やハンセン・バンク(コード11)はじめ、主な銀行は期間限定の「税金ローン」を提供している。小額融資とはいえしっかり審査もあって、筆者の元同僚は申し込みを却下されてしまったという。その後、某氏がどのようにして税金問題を解決したのかは定かでない。(越)


〜中国デパート〜 (2001/11/15)

香港のデパートには、日系、中国系、地場(香港)系、欧米系があって、品揃えが大きく異なる。昨今の百貨店業界低迷のなか、閉鎖していく店舗が少なくないのが残念だが、やはりオフの街歩きにデパートめぐりは外せない。平日でも夜9時〜10時、年末などのセール時には深夜まで営業しているので、残業で遅くなっても帰宅前に寄り道ができる。


無難な買い物を手早くすませたい時は日系店が便利なのだが、ちょっと珍しいものを見たかったり安物買いをしたいヒマな時には中国系デパートがいい。裕華百貨、華潤百貨(チャイナ・リソーシズ、コード291)が大手だし、チムシャツイやコーズウェイベイ(いずれも主要繁華街)の分かりやすいところにある。

実用的なところでは、チャイナテイストの衣料品や日用品がお勧め。私は話のタネのつもりで、中国製の漢方成分入りシャンプーや石鹸(100円台〜)を試したり、いつ割れても捨てても惜しくない安い食器(数十円〜)を調達した。またもう少し予算を増やせば、同じ景徳鎮の陶器でもかなり良質なものがリーズナブルな値段で手に入る。生産地の中国では、良質のものは優先的に香港などに出荷しているらしいし、輸送料を入れても日本のアジア雑貨店で購入するよりお買い得ではないかと思う。

日本では手が出ないシルクのパジャマやアンダーウエアを、ここぞとばかり奮発する日本人女性もいる。ただし、安いものにはそれなりに注意が必要だ。中国デパートでチャイナドレスをオーダーしたある女性観光客は、気に入りの布地をようやく見つけたはいいが、仮縫いの段階でそれが人造シルクつまり「化繊」であることに気づいた。オーダー時に確認をしていなかったため文句のつけようもなく、その意気消沈ぶりは見ていて気の毒だった…(越)


〜不動産デベロッパーの話〜 (2001/11/1)

香港企業というもの、大企業に成長すると必ず不動産事業を手がけ、そちらが本業となる。長江実業(コード1)がもともとプラスチックメーカーだったことなど、すっかり昔話だ。

不動産デベロッパーといっても規模はさまざまで、資金繰りに困ったか、いつまで経っても建築工事が進まないような弱小企業もある。住み心地だけでなく後で転売する時のことも考えた場合、一般市民が最も安心して買えるのはサンフンカイ・プロパティーズ(コード16)やヘンダーソンランド(コード12)あたりの大手デベロッパーが開発したマンションのようだ。これらは特に「中産階級向けの物件」をターゲットにして成長した企業である。

大御所・長実グループ(ハチソン・ワンポア=コード13=含む)の物件はどうかというと、「個人で賃貸しようとしたら、企業名義でないとダメと断られた(注:香港で住宅物件を賃貸する際、保証人を求められることは基本的にない)」とか「同じマンションの第1期、第2期、第3期開発分を見比べたが、後期分ほど間取りが狭くなっていた。初期に人気が出たのをいいことに、ケチしたんじゃないのか」といった下見客のコメントがなぜかしばしば聞かれる。アジア経済危機の時、住宅ローンが組めなくなった市民らが、政府の介入を求めてちょっとした陳情活動を起こしたことがあったが、そういえばあれも長実系マンションでの話だった。

他人を信用せず、腹黒くなければなかなか一代で財は成せないと言うが、イチャモンがつきやすいのはそれだけ李嘉誠・長実グループ会長が一癖ある人物という証拠か?それともこれは「香港一の金持ち」に課せられた有名税なのか?(越)


〜食肉の話〜 (2001/10/24)

「狂牛病」についての報道をTVや新聞で見ていると、情報に不透明感があるうえ、対処方法も後手に回りがちに思われる。

こういった食品の安全性に関わる事件が発生した場合、香港では時として、実に思いきった措置が取られる。数年前に「鶏インフルエンザ」が流行し、家禽類の肉が危険とされた際には、中国から家禽類の輸入を一切差し止め、すでに輸入されていた鶏やアヒル、ガチョウも一斉処分することがすぐに決断された。

中国から香港に輸入されてくる食肉類の場合、多くが生きたまま運ばれて香港到着後に食肉として加工される。このため、処分といっても食肉の在庫だけを焼却すればいいのでなく、生きている鶏たちの屠殺から始めなければならない。短期間での処分決定だったため、専門の食肉場だけでは処理が追いつかず、このときは普段デスクワークについている政府の漁農処職員が駆り出されて作業に当たった。エリートに属する政府の事務職員たちが慣れない刃物を振り回し、暴れまわる鶏と血まみれで格闘する壮絶な姿がメディアで伝えられたのは言うまでもない。

こうした生鮮食品に関する事件が起こると、必ず業績が取り沙汰されるのが五豊行(現・カムボート・グループ、コード318)。生鮮食品の輸入大手として、香港市民の食卓を握る会社だ。香港は地場生産できる食品が非常に限られており、わずかなそれらに対するこだわりも強くなさそうに見える。もし現在の日本の狂牛病対策に香港的発想を取り入れたら、いったいどういう
措置が打ち出されるのだろうか。(越)


〜常備薬の話〜 (2001/10/17)

パナドール、保濟丸(ボウヂャイユン)、白花油(バッファーヤウ:コード239)…香港人の自宅や鞄の中には、しばしばこういう薬が常備されている。パナドールはおそらく最もポピュラーな鎮痛・解熱剤で、ワトソンズやパークンショップ(いずれもハチソン系:コード13)などのドラッグストアやスーパーでも手に入り、病院でもよく処方される。

保濟丸は、レトロな中華風パッケージに入った真っ赤な顆粒で、ちょっとしたお土産にもなりそう。長さ3センチ強、タテヨコ1センチほどの小箱には、「胃もたれ、消化不良」「倦怠感、頭痛」を初め、ありとあらゆる体調不調に関する効能がびっしり。その守備範囲の広さは「なにかヘン、と思ったらとりあえず飲め」と言わんばかりだ。

医薬品に関する基準の違いで、現地で手に入る薬は日本のものよりもきついことが多い。パナドールを何十錠もビールで飲み下して自殺未遂を図った女子中学生の事件もあった。だが保濟丸のような漢方っぽい薬は即効性があまりないためか、かなり無造作に飲まれているようだ。漢方では体調不良を「陰陽の気が乱れる」ことが原因としている。保濟丸は、まさに「気の持ちよう」を助ける薬かもしれない。

白花油は、ツンとした匂いの無色のオイル。小さいものは数ドル(100円台)で、子供の手のひらにすっぽり入る小ビンで売られている。これを身体のあちこちに擦り込むとス―ッとして、頭痛や乗り物酔いに効くとか、コリやむくみが取れるとか、アロマ効果があるとか言われる。

ちなみに私は虫に刺されて掻きすぎた時にもこれを勧められた。白花油は、確かに赤むけした患部を保護してくれた。だがこの薬の持つ清涼感は、「キンカン」や「ウナ」のような鋭さに欠け、かゆみ自体はすぐに治まらない。耐えかねた私は塗りつけた白花油ごと患部を掻きむしって、よけい傷をひどくしてしまったのだった…(越)


〜キャッシュレスの話(後編)〜 (2001/10/11)

香港でキャッシュレス化が進んでいる背景として、前回(1)マーケットの小ささから流通や交通網の寡占化が進んでいる
(2)香港ドル硬貨がやたら大きくて重い(3)公共交通機関で運賃のお釣りをもらえないことが多い――という話をしたので、今回はその続き。

香港ドルの硬貨は、1HKドル玉がだいたい500円硬貨大。2HKドル玉も同じぐらいでフチが波型になっている形。すごいのは5HKドル玉で、ただでさえ立派な1HKドル玉を2.5枚ほど貼り合わせたようなドッシリ感がある。これにセント玉も加わる。

フェリーは定期券を発行しているし、地下鉄(コード66)の券売機のそばには両替機があるが、バス(CMB=コード26)にはどちらもないので、バス通勤・通学者は常に小銭のストックに気を配り、小銭入れは絵本かアニメに出てくる昔の金貨・銀貨の袋のように膨らんでいることがよくあった。ちなみに香港の鉄道・地下鉄も通勤通学定期券を発行していない。

バスに乗ろうとして、どうしても持ち合わせがぴったりない場合には、あきらめて多めに料金を投入するか、ぴったりの金額を持っている他の乗客に「私が一緒に入れてあげますよ(一緒に入れさせて、とはあまり言わないあたりが国民性か)」と声をかけ
、何人分かを一緒に払って、お釣り分の小銭を自力で調達しなければならない。磁気カード式乗車券「オクトパス」が普及するにつれ、財布がスマートになると共にこうした風景もあまり見られなくなった。

両替機だけでなく、現地には日本ほど自販機も設置されていない。あっても正常に稼動すると限らず、金だけ取られて用をなさない心配があるので、下手な機械よりは人力のほうがよほど効率的だ。こういう機械不信と一足飛びのハイテク化も、アジアらしさを感じる一面だ。(越)


〜キャッシュレスの話(前編)〜 (2001/10/3)

最近、日本でも買い物の際、銀行のキャッシュカードから直接、支払いのできるシステムができたが、この手のシステムについては香港のほうが数年進んでいるようだ。

一部の店しかこのシステムを導入していない日本と違い、現地ではパークンショップ(ハチソン・ワンポア=コード13=系)とウエルカム(ジャーディン・マセソン系)の2大スーパーマーケット網で現金を持たずに買い物ができる。またプリペイドカードとしては、地下鉄(コード66)、九広鉄道、バス(CMB=コード26)、フェリーでも共通に使える磁気カード式乗車券「オクトパス」が代表的だ。

香港でこうしたシステムが普及したのは(1)マーケットの小ささから流通や交通網の寡占化が進んでいた(2)香港ドル硬貨がやたら大きくて重かった――というのが主な理由ではないかと私は思っている。

さらに当地のバスや地下鉄が、運賃のお釣りをくれない仕組みになっていることもカード化の需要を高めたのではないだろうか。(越)


〜香港映画〜 (2001/9/26)

ホンコンといえばアクション映画。ジャッキー・チェン、ブルース・リー、サモハン・キンポー、ユン・ピョウなどの個性的な俳優が、ゴールデン・ハーベスト(コード1132)の映画から誕生した。

ストーリーや表現が単純明快なので、途中で居眠りしたりトイレに行っても、話の展開にすぐ追いつける。乱闘シーンで主人公がジャンプした瞬間、場面が街中から山の中に切り替わったりの強引な展開もご都合主義も、面白ければ何でもアリ。

この大雑把さは多分に香港の劣悪な住宅事情によるものが大きい。市街地には、「6畳間のウサギ小屋」より狭いアパートに住む庶民が、夕食後のくつろぎタイムを過ごすための安い映画館がたくさんあった。わいわい見るためだから、分かりやすくノリがいい作風が好まれた。

だが近年のニュータウン開発で住宅事情が改善され、映画館には閑古鳥が。いまやVCD(DVDと似た画像つきCD)にすっかりお株を奪われ、古い映画館はどんどんつぶれてしまっている。

制作される香港映画も、近年は人間愛をうたったストーリー物が増え、昔ながらのドタバタ劇は下火に。ドタバタを愛した香港映画フリークは、近頃インド映画などに移行しつつあるという。(越)


〜失業率の話〜 (2001/9/19)

香港の失業率は、最新データで4.9%。日本の場合は5%、都道府県別に見るとこれをはるかに上回る数値も出る。でもだからといって、日本の雇用状況のほうが厳しいのかというと、必ずしもそうではないようだ。

日本の場合、失業保険をもらうために退職後しばらく仕事を探すフリだけしている人がよくいる。また給付期間中にあわてて再就職することも少ないかもしれない。しかしアジアでは失業保険のシステムが確立していないことが多く、例えば香港では
企業が労使双方での積み立てを行い、退職時に支払う仕組みになっている。積み立てをしない会社もあり、失業時の経済的保障というのはなきに等しいため「見かけの失業人口」はあまりいないと考えられる。一方、日本にありがちな「形式上は自己都合だが実際は解雇」という退職者もあまりいないようだ。「キミ、今日まででいいから」という首切りが珍しくないからだろう。

日本で「フリーター」という言葉が使われるようになったのはここ10年ほどだが、香港ではそれ以前から「フリーター」状態の人が当たり前に存在している。そもそもジョブホッピングのテンポが段違いで、入社当日にさっそく退職するケースもあるほどのお国柄だ。副業を持ち、独立や万一のために備える人も多い。

そう考えると、一見大差なく見える2つの数値が重く感じられる。(越)


〜金利の話〜 (2001/9/12)

最近はアジア各国でも金利が下がってきているが、それでもほとんどゼロ金利の日本に比べると高いほう。アジア経済危機ちょっと前の香港などすごい高金利で、香港ドルは普通預金でさえ年利が5%もあった。

定期預金の場合、ハンセン銀行(コード11)や香港上海銀行(HSBC、コード5)という大手でも年利約9%、預金獲得に追われる中小銀行は、年利10%以上が当たり前だった。なけなしの貯金といえどもこれだけ利息がつけば、結構な儲けになる。ただし利息の高い定期預金にはそれなりのリスクがあって、中途解約ができない仕組みになっていた。

それに当時は香港ドルのペッグ制(1米ドル=7.8HKドル前後の固定相場制)が崩壊するかもしれない、と懸念されていた時期。異国住まいの身には、香港ドルが切り下げられて紙くず同然の価値となっては、いくら利息が高くついても意味がない。
そんななか、港基国際(IBA、コード636)という中堅銀行では「取りつけ騒ぎ」まで起こった。香港ドル定期預金に年利13%もの高金利をつけていて「危ないのでは?」といううわさが流れたのだった。大手銀行のハンセンも、かつて取りつけ騒ぎがもとで香港上海銀行グループに入った。

それにしても、利息がほとんどつかない日本の預金…。当時の香港の高金利が、スリリングながら懐かしい。(越)


〜風水の話〜 (2001/9/5)

日本でも流行った「風水」。占いやインテリアのようなおしゃれな感覚で取り入れられたようだが、本場では少し感覚が違うようだ。

香港島南部の対岸、ラマ島には3本煙突の発電所がある。香港電燈(コード6)の発電所だ。ラマは古くからの漁村で、発電所建設の際には当然のごとく住民の反対に遭った。ようやくこれを押し切って計画に着手したのだが、当初は2本煙突の予定だったのを今度は住民から「煙突を2本建てると島の風水が悪くなるから3本にしろ」との要求が出て、やむなく変更したとか言われている。

オフィスではレイアウト変更をするたびに、現地スタッフから「この配置は風水が悪い」と苦情が出て、外国人経営者は調整に一苦労だとか。地元の新聞を見ていると、建設事業の費用内訳に「風水費」という項目も出ていたりする。

「風水」は土地の良し悪しを決める中国の伝統的な考え方で、昔は亡くなった人の埋葬地を決める役割を果たしたという。「迷信だ」と言い捨てる人もあるが、現代社会においては時に「遊び」や「言い訳」の意味合いを果たしていると思う。

例えば、香港では風水をよくするために金魚を飼うオフィスが多いが、生き物に餌をやったり何気なく観賞するのは、思いのほか精神安定に作用する。金魚や草花に気を使う余裕のある会社のほうが、経営が良好なのは当たり前かもしれない。また「風水」を理由にすれば、嫌いな同僚の顔をむやみに見なくて済むよう、デスクを配置しやすい。

それはそうと建設事業の「風水費」、まさかリベートの隠れ蓑になってはいないだろうな?(越)


〜不動産価格の話〜 (2001/8/29)

経済成長が著しい、逆にいえば未成熟で動きが激しい国では、日本にいる時よりはるかに為替や株価の動向が気になる。手持ちの日本円を両替するかどうか、貯金を米ドル建てにするか、現地通貨建てにするか。投資家ならずとも、差額が何食分になるかと思うと目の色が変わる。

さらに住宅費が金融証券の動向とぴったり並行して推移するのでたまらない。公共団地やスラムはともかく、中産階級や外国人が住む物件は賃貸料が年間で20%も上下動することがある。分譲価格に至ってはそれ以上で、モノによって年間30〜40%変動することも。ちなみに人件費や物価が日本の何割かは安いアジアでも、住居費は期待するほど安く上げられないことが多い。香港やシンガポールでは、東京なみかそれ以上かかるのが普通だ。

怖いのは、不況よりもヘンに好況な時だ。なぜなら金利や物価がどんどん上がり、しがない借家住まいの身を家主からの賃貸料大幅値上げの宣告が襲う。しかし給料や蓄えが年間20%も増えるなんてそう期待できない。逆に不況時のほうがこちらから強気で家賃の値下げ交渉ができる分、結果的に可処分所得が増えて、実は懐が暖かかったりする。

好況をチャンスとして活かし、持てる者に搾取されずに生きるには、転職または副業で収入アップを狙うか、株式か不動産投資でもして給与外所得をせっせと稼ぐしかない。だから労働市場も株式市場も一層めまぐるしく動いていく…(越)


〜アジアとカジュアルウエア(後編)〜 (2001/8/22)

欧米人のような分厚い胸板のない日本人は、スーツの着こなしが苦手だというが、ジーンズがさまになる人も限られているように見える。

誤解を恐れず言えば、個人差や世代差を差し引いても、おおよその日本人は他のアジア人と比べて、身長の割に頭とでん部が大きい。筆者は香港カジュアルブランドの「ボッシーニ」や「ジョルダーノ(香港:709)」でジーンズなどを買うとき、採寸したウエストサイズ通りのものを試着するとだいたいお尻がきつく、1〜2サイズ上を頼んでは店員を不審がらせたものだ。ちなみに、他の日本人に聞いたら同じ体験をした人が複数いた。

比べてアジア、特に中国人は「少年体型」の人が多く、女性もどことなくボーイッシュで、やせ型でも比較的骨格はしっかりしている。そのせいか、「ユニクロ」の服はわりと採寸がゆったりしており、体型をカバーしてくれるものが多いようだが、「G2000」や「エスプリ(香港:330)」では、ぴったりしたデザインのシャツ類をよく売っている。

ふた世代ぐらい前、中国(特に北部)では「ゆとりがないと格好悪い」と言い、体格も服装もたっぷりとしたほうが好まれたという。今の消費者はどういう服を欲しがるのだろうか。(越)


〜アジアとカジュアルウエア(前編)〜 (2001/8/15)

アジアで「ジョルダーノ(香港:709)」のようなカジュアル衣料がポピュラーなのは、温暖で衣類にお金をかけなくてすむ気候のほかに、生活環境の要因が大きいと思う。

香港をはじめアジアの大都市では、えてして東京よりも住宅事情が悪く、都市インフラも立派とは言いがたい。水道水はしばしば赤茶色に濁り、洗濯物にはよけいな汚れがつくし、生地も傷みやすい。

それに、アパートの窓から洗濯物を干すと、クーラーや自動車の排気でホコリがついたり、ひどいときには階上の洗濯物から滴った水で、衣類がよけい汚れる。自宅に洗濯機がなくて手洗いする人がおり、それもちゃんと脱水しないで干す人が多いからだ。
 ランドリーにはジーパンから下着までなんでも洗って乾燥してくれるサービスがあるが、日本のコインランドリ―と違って自分で微調整ができないので、これも生地が傷むのは避けられない。

よってアジアでの衣生活は「安い服をたくさん買って、使い捨てを覚悟する」か、「ちょっといいものを買って、クリーニングは日本なみの仕上がりが期待できる白洋舎(香港:10、ハンルン)に出す」と両極端になりがちだ。さらに、人種的な体格の違いもカジュアルウエアの普及と無関係ではないと思う。 (続く=越=) 


〜中国とカジュアル衣料〜 (2001/8/8)

「ユニクロ」が、中国展開するそうな。オープンは来秋、上海付近でというから、今夏にオープンする「ジョルダーノ(香港:709)」の中国向けブランドなどの後を追いつつ、競合することになるのだろう。

日本でもバブルの頃から、1000〜2000円台で手に入る衣料品はあった。だがそれらは、デザインや品質に当たり外れがあったり、「スーパーの特売品」といった印象が強く、ともすると所帯じみたり幼いイメージがあった。不況下の日本で「ユニクロ」がヒットしたのは、着こなしやすい定番モノをブランド化して安心感を持たせたうえ、安価でオシャレという大きな付加価値が認められたせいだと思う。

ところでマクドナルドのバリューセットは、中国ではだいたい300円前後。日本と比べれば安いが、物価水準を考えれば、あまりカジュアルに利用できるとは言えない。これらを利用するのは、一種のステータスとしてか、ちょっと背伸びをする時だろう。

それと同じく、1ヵ月の賃金が1万〜2万円台の一般庶民は、「ユニクロ」や「ジョルダーノ」の品揃えを安いと感じるのだろうか?中国にある生産拠点を生かして、さらに安値で売り出すのだろうか?それとも日本人のOLやサラリーマンが持ちたがるヨーロッパブランドのような、「高級ファッション」としてアピールするのか?(越)


〜あるクレジットカードの話〜 (2001/8/1)

イオンクレジット(香港:コード900)という会社がある。 各種金融機関がしのぎを削る香港で健闘しているノンバンクだが、 ここが数年前「ハローキティカード」なるものを発売した。 いろいろな特典に加え、人気キャラクターの「ハローキティ」が プリントされているのが非常に受けた。前後して、某大手銀行からも、 「四天王」と呼ばれる人気タレントのブロマイドをプリントした クレジットカードが出されたが、キティカードほどのブレイクは なかったようだ。

折しもアジア諸国はキティを初め、キャラクターブームの盛り。 さらに発売当時は円安期であったため、米ドルとリンクしている 香港ドルは非常に強く、香港人が続々と日本へ買い物ツアーに 出かけていた。キティカードは、日本への観光ツアーでもだいぶ 愛用されたらしい。

アジアからの観光客に人気が高い日本の買い物スポットは、 ディズニーやサンリオピューロランドなどのほか、PCショップや カメラ屋など。ところが、あるカメラのディスカウントショップ、 それも新宿店にことのほかキティカードの利用者が集中する傾向が 出たという。その店とイオンに特別の提携関係はない。不思議に思った リサーチ担当者が理由を調べたところ、その店にはなんと香港帰りで 広東語の喋れる店員がおり、それが口コミやガイドの紹介で香港人 観光客の評判を呼んでいたのだという。

今後数年の中国・香港は、北京オリンピックに関する経済効果が 期待されている。金融業界もドラスティックに再編されるなか、 どんな商品を出しつづけていくのかが気になるところだ。(越)


〜台湾食品〜 (2001/7/25)

観光や出張など短期間の海外滞在ならば本格的なレストラン、旅なれた人の滞在ならば屋台や大衆食堂のようなところで食生活を送るだろう。 しかし滞在が長くなるうちに、ファーストフードやインスタントものの出番が増えるものだ。

台湾はもとより、香港のスーパーでスナック類を物色していると、「日清カップヌードル」や「出前一丁」のアジア生産バージョン以外に、統一集団=ユニプレジデント=(台湾:コード1216)社製造の「統一」ブランドのものが目に付く。丁益=ティンイ−=(香港:コード322)も台湾系の食品メーカーだ。

小指の頭ほどもあるゼリーの粒が入った飲み物がある。漫画家・柴門ふみ氏の作品に「香港名物」として登場したことがあるが、これも台湾の外食チェーンが発売したもの。台湾麺もなかなか人気があるし、実は知らないうちにかなり台湾モノを食べているかもしれない。

おそらく台湾出身の軽食は、香港人にとっては「少し目新しくて、でも華人好みの味」で、日本人にとっては「香港風ほどのキョーレツさはなく、でも適度なエスニック感がある」存在。ちなみに私が気に入っていたのはコーヒーゼリーならぬティーゼリー(それもウーロン茶味)だった。

台湾の産業というとハイテクイメージがアピールされがちだが、食品など 伝統的な製造分野でも台湾製品は根強い実力を示している。むしろ米国や日本などの景気動向にさほど左右されず、ベンチャーも参入しにくいところは強みかもしれない。(越)


〜オリンピックと中国・香港〜 (2001/7/19)

2008年のオリンピック開催地が北京に決まり、中国国民はもとより香港市民も五星紅旗(中国の国旗)をかざし、祝賀ムードを盛り上げているという。

1996年のアトランタオリンピックの時には、ヨットで香港選手の李麗珊(リー・ライサン)が金メダルを獲得。「香港の名前で出場する最後のオリンピックで、香港初の金メダルがもたらされた」とやや感傷の入り混じった賞賛があふれかえったものだが、さすが変わり身が早いというかポジティブというか。

ところで今回のオリンピック誘致、中国は8年前シドニーに敗れた雪辱をついに果たしたと報道されているが、8年前、北京市民の早とちりで「雪辱」とやらが増幅されていたことは意外と知られていない。

開催地を発表する時、IOCはまず候補地を順番に読み上げるのだが、その時一番に呼ばれたのは「北京(Beijing)」の名前。冷静に考えれば単なるアルファベット順なのだろうが、英語がよく聞き取れなかったか、北京市民らは開催地決定と間違えていきなりそこで狂喜乱舞。天安門広場には竜や獅子が舞い踊り、その後シドニーからの歓喜の声が伝えられると、広場の空気は一気に凍結した。

それはともかく、中国国旗と中国関連株フィーバーの組み合わせ。これは4年前の香港返還間近のバブルを彷彿させる。急騰と暴落を繰り返すのがこの地の経済だとすれば、またあの好景気はもたらされるのだろうか?(越)


〜キャラクターもの〜(2001/7/11)

最近中国では、マクドナルドがセットに日替わりでスヌーピーのおまけをつける(プラスいくらかで買える)販促策で急速に市場を広げているそうだ。日本でも似たような販促セールはあるし、ピングーのキャラクターグッズ欲しさにせっせとミスタードーナツに通う人はいる。だがニュースに取り上げられるような騒ぎには至らない。

中国では、スヌーピー目当てに学校を休んで遠い町からバスでやってくる子供や、仕事を休んで列に並ぶ親が相次ぎ、社会問題化したという。これも一人っ子政策で子供を甘やかした結果か。

陸続きの香港でもこれに先立ち、2年ほど前に同様のブームが起こった。ただしこれはコレクション目的という以外に「これだけ人気があればヤミ市場で高く売れるだろう」という思惑が働き、人形を買いあさった投機筋(!?)の存在が大きかったらしい。事実、品切れになった超人気バージョンや全種類そろったスヌーピーのセットが、発売後何日も待たずに古銭や切手と一緒に高額で店先に並んでいるのを見かけた。

商売気のない日本のマニアが静かに深く情熱を灯し続けるのと違い、華人魂は金銭欲にあおられて一気に燃え盛り、鎮火も早い。何百HKドルもの値でスヌーピーや「たまごっち」を手に入れた華人消費者は、そのお宝を今どうしているのだろうか?(越)


〜距離感覚の話〜(2001/7/4)

香港で現地の友人を自宅に誘った。地下鉄(コード0066)やバス(新世界バス:コード0017)を乗り継ぎ、所要1時間足らずの移動だったのに「あなたの家は遠くて、まるでアメリカに来たようだ」と言われた。またある大阪在住の人は、香港の知人から「日本に行くので、成田空港まで迎えに来て」という電話を受けて絶句した。

超過密都市の香港は、東京でいうと山手線内ていどの広さに市街地が収まる。職住接近が当たり前で、外出先もたいてい20〜30分の移動(渋滞がなければ)で済ませる。その範囲を超える移動というと外国や壮大な中国大陸をイメージするらしい。東京(成田)―大阪間が気軽に迎えに行ける距離ではないことを説明しようとした人は、こう切り返された。「それって、北京からどのあたりまでと同じぐらい遠いの?」――。

距離感覚のなさは、コスト感覚のマヒにもつながる。東京―大阪間が所要3時間(もちろん新幹線で)なら、九龍―広州(九広鉄道の直通列車)間とそう変わらないじゃない…と勇んで出かけるのはいいが、実は新幹線は九広鉄道よりはるかに速く、交通費には軽く5倍の開きがある。日本で電話をかけるときの、市内・市外局番の料金体系の違いも都市国家の住民には分かってもらいにくく、ひと揉めしがちなポイントだ。

このあたりは香港人(たぶんシンガポーリアンも)に特有な問題で、台湾や韓国の人とは比較的スムーズに意思疎通ができるかもしれない。逆に、分断された祖国の片割れが隣にある「近いのに、気の遠くなるほど遠い」 感覚や、男子なら誰もが必ず経験するという、軍隊生活と一般社会の遠近感はこちらがまったく見当がつかないのだが…(越)


〜クーラーの話〜(2001/6/27)

夏になると、どこでも冷房の温度設定について「弱すぎ」「寒すぎ」という不平不満が大なり小なり出るものだが、アジアの国々では本当に身が引き締まるほどクーラーが効いていることが多い。暑い国で、クーラーなしで夏を過ごすことは考えにくい。だがオフィスにしろ店にしろ乗り物にしろ、上着を着ても足りず、手がかじかむほど冷やすとはどういうわけか。

日本人がクーラーを弱めようとすると、地元民は「息が詰まって身体に悪い」と血相を変える。そのため南国の夏に真冬用の厚いタイツをはいたり、使い捨てカイロを使ったり小型ヒーターを足元にしのばせるなど、嘘のような冷え対策を講じる日本人(女性)が少なくない。ちなみに夏ばかりか冬でも「空気清浄」のためクーラーが稼動していることがある。

あるとき、華字紙の『明報(ミンパオ)』(明報企業、香港:コード685)がある記事を1面トップで掲載した。「室温が低いと空気の汚れに対する許容量が増して気にならなくなり、喘息などの原因になる」という現地では画期的な新事実だった。日本人はそれ見たことか、と言わんばかりに切りぬきをオフィスの壁に貼り、「クーラーが空気をきれいにするわけはない」と強調した。しかしその後、そのオフィスが「弱冷房」になった話は聞かない。

10年ほど前の中国ではまだクーラーが一般的でなく、「冷房なんかいらない、部屋の中と外であんまり温度が違ったらカゼをひくよ」と、屋外や開け放した部屋で扇風機のぬるい風を浴びながら昼寝をする人が多かった。家電製品が普及した最近の中国都市部でも、やはり冷蔵庫のように部屋を冷やしているのだろうか?(越)


〜銀行の話〜(2001/6/20)

香港にやたらと多いものの1つが、銀行。香港上海(HSBC、コード5)、ハンセン(11)、中銀、道亨(223)、大新(440)――
 石を投げれば銀行に当たる。キャッシュディスペンサーは郵便受けのようにさりげなく銀行の壁に並んでおり、24時間サービスで深夜でも祝祭日でも手数料など取らない。

意外と不便なのが、他行への振り込み。
 ホンシャン(香港上海)からハンセン、または中銀グループ間のように提携関係のある銀行間しかシステムが連動しておらず、自動振り込みができないのだ。ハンセンから中銀系への振込みは、現金を携えて窓口へ赴かねばならない。

そして自分の口座への預け入れ。
 ボタンを押すと、銀行名の入った封筒が出てくる。それにお金を入れ口座番号を添付してポタリと機械の中へ落とす。入金が確認できるのは後日だ。

ある時、口座番号を添付し忘れて「入金」してしまった。
 1ヵ月分の家賃相当額をである。これでは入金の記録がなかったとしても、抗議のしようがない。しかもそれは4連休の初日だった。泣きそうになりながらコールセンターへ。しかし返事は「オーケー。連休が終わったら、その支店に行ってお話ししてください。バイバイ」――。その後、機械での入金はしていない。(越)


〜香港情報〜(2001/6/13)

報道規制が結構厳しい日本や台湾と違い、香港のメディアは何でもアリ。本当かよ、と思いつつ読みふけってしまう、アヤシイ記事やきわどい記事が紙面を賑わす。

その筆頭が大衆紙の東方日報(オリエンタル・プレス=コード0018)。そして後発ながらライバル紙として健闘するアップル・デイリー(ネクスト・メディア=コード0282)。東方日報は写真週刊誌なみかそれ以上の過激さ。ガセネタも少なくないが、時たまスクープがあるのであなどれない。

ネタを集めるための機動力は抜群で、ひとたび事件が起こると警察より先に東方日報の取材カーが現場に到着するほど。なんでそんなことができるかというと、彼らは警察の無線を勝手に傍受して情報収集しているから。ニュースソースが「盗み聞き」だから、事故や事件のてん末や被害者の年齢がメディアによって食い違う。

基本的スタンスがこれだから、政治経済・株式面にもしょっちゅう「特ダネ」が出没。 そのたびに投資家は浮き足立ち、時には株価の乱高下を招く。

メディアがたきつけるから世間が騒がしくなるのか、世の中がめまぐるしいから情報も錯綜するのか。「掘り出し物」と「まがい物」は、情報にも存在する。(越)


〜香港的株式ニュース〜(2001/6/6)

株式用語には独特なものが多いが、香港あたりではほとんど隠語のよう。
 熊市(ベア)、牛市(ブル)ぐらいはともかく、大衆紙の株式欄は「今日の金魚鉢は、ワニがにらみゾウが吼え…」という調子で、何の事やら見当がつかない。

タネあかしをすると「金魚鉢=株式市場」「ワニ=投機筋」「ゾウ=HSBC(香港上海銀行」のこと。
 字面だけではなく、時にはこれらが4色刷りやカラーで色鮮やかに描かれ、一面トップを飾ったりする。よく見るとゾウの腹掛けにはHSBC(コード0005)のマークが入っていたりして、結構芸が細かい。

香港市民は馬券を買うノリで株を買う。馬にしろ株にしろ情報収集は欠かせないが、それなりのインテリでないと、小難しい経済用語など読む気もしない。
 そこで、投資に関わるニュースの要点をイラストで解説するテクニックが発達した。
 慣れると、本文を読まず(理解できなく)とも状況が一目瞭然となり、なかなか便利だ。

こういうイラスト記事は、デザイン担当の若い兄ちゃん達が制作しているらしいが、投資意欲への影響はかなりのものではないだろうか。
 今日も香港のヤムチャ屋には、大衆紙の株式欄を片手に携帯電話で売買注文をがなり立てている小口投資家がたくさんいるに違いない。(越)


〜日本食もどき〜(2001/5/30)

日本で食べる中華料理と、中国や香港、台湾で食べる料理が別モノなのと同様、外国で売っている日本食も似て非なるものであることが多い。

日本と関係の深い韓国や台湾では、すでに現地化したすしやのり巻きが定着しているが、香港ではまだ一時的なブームの域を出ておらず、ときたま奇妙なものにお目にかかる。

「カツどん」ならぬ「カツうどん(カツが出し汁に浮いたうどん)」、同様のパターンで「餃子ラーメン(ラーメンの具が餃子)」。コンビニでは、酢飯にイカ・タコ・貝の中華風煮しめが入った「おにぎり」を売っている。なぜか「手巻きずし」も同じ具。

あるとき、ジャスコ・ストアーズ(コード984)の偉い人(日本人)に「酢飯のおにぎり」の話をしたところ、「しまった」という顔をされた。なんでもこの方、店で「すし用のご飯が余った」と香港人スタッフが指示をあおいできたとき、何気なく「捨てるともったいないから、おにぎりにして売れば?」と答えた覚えがあるという。某コンビニエンスストアでおにぎりが発売される少し前のことらしい。

このまま香港式おにぎりが酢飯のまま定着する可能性もあるわけだが、するとご飯の味も具もほとんど同じで、形状だけ違う「手巻きずし」の存在はどうなる?ちなみに香港版手巻きずし、おにぎりよりも単価で30円ほど、高い。(越)


〜貴金属とマンション(後編)〜(2001/5/23)

日本人は住宅=家=家庭という意識が強い。
 家を買うというと「終の棲家」とか「身を固める」とのニュアンスが強いので、独身女性がマンションなど買おうものなら「結婚しない気?」と言われがちだ。

しかし香港の華人社会では一般庶民でも、親と公団住宅に暮らしながら子がマンションオーナーをしていたり、親が貯金代わりに子どもに1つずつ物件を買って(頭金を用意して?)やるなど、住宅を生活空間というより資産として捕らえる側面が強い。

でもそのマンション、何千万円もの値段がついているのに、台風で雨水が吹きこんだり、停電、断水はしょっちゅう。エレベーターが故障して20何階まで非常階段を往復することだってある。悪いのは、そんな物件を作る新鴻基(サンフンカイ、香港0016)かヘンダーソン(香港0097)か。それでも金を惜しまず買う消費者か。

日本人だったらマンション購入より先にクルマとか趣味とかにお金を使いそうなもの。
 だが香港には金をかけるような遊びも少ない。お茶やお花など習い事を小さい頃から仕込む習慣もない。その分の資金は株や不動産に回る。

「住む」ことよりも「稼ぐ」ことに片寄ったマンション。
 換金性は高いが、装飾目的とかけ離れた(ように見える)貴金属アクセサリー。どちらも1種の金融商品として、華人のメンタリティーを表している。(越)


〜貴金属とマンション(前編)〜(2001/5/16)

「ダイヤモンドは、確かな財産です。でもその中に、住むことはできません…」 という住宅のCMがあったが、華人にとっての貴金属と住宅(マンション)の財産的価値は、おそらく日本人の比ではない。

日本人には銀や18金のアクセサリーが好まれる。
 18金は色合いが落ち着いており、繊細な加工に向くので装飾性が高い。
だが華人社会では金といえば24金で、これは純度が高いぶん、換金性が高い。
政情不安のたび、ありったけの貴金属を身にまとって難を逃れた華人の歴史がここにある。

謝瑞麟(ジェソイロン、香港0417)や周大福(チャウダイフック、新世界=香港0017の関連会社)といったチェーン店には、小心者には腰が引けるような光を放つ24金がずらり。
特に熊とかミッキーマウス、縁起物や『福』の字をかたどった金のアクセサリーや置物はご利益がありそうだが、私にはこれらを美しく装い、飾れる自信はない。

同じことは、マンション購入についても言える。(後編に続く…越)


各国ビール事情(2001/4/25)

海外に旅行や出張したら、ぜひ地元のビールを試してほしい。台湾には台湾ビール(国営)韓国にはハイトビール(コード00140=韓国上場)などという国民的ビールがある。香港では、地ビールとは言いにくいが、フィリピン系のサンミゲル(コード0236=以下香港上場)とデンマーク系のカールスバーグが最も定着している。

一方中国では、国土が広大なうえ製品を遠距離輸送できる体制が不十分なため、各地に小さな「地ビール」工場が乱立。現在、それらが続々と淘汰され、新たな市場形成が進んでいるところだ。

中国産ビールとして最も知名度が高いのは「青島ビール(コード0168)」。近年は北京控股(コード0392)系の燕京ビール粤海企業系の「粤海ビール(コード0124)」などが成長めざましく、近い将来は大手数社による寡占状態に至るとの見方がある。

上記3つもすべて地名をもとにしたネーミングだが、中国のかなりの地方で「桂林ビール」「新疆ビール」といった地元限定銘柄が入手できるはずだ。いつか大手に吸収されて消えてしまうかもしれないこれらのビール、今のうちに試してみると話のネタになるかもしれない。



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