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他社株転換債(EB)とは 〜 発行事例 〜
 

ここで、実際に発行された他社株転換債の事例をもとに解説します。
 

○○銀行 他社株転換条項付円建債券

買付日 : 2000年9月
償還日 : 2001年9月(1年後)
額 面: 2,550,000円
売出価格 : 額面100円あたり100円
償還金額 : 2001年8月末(評価日)の対象株式の東証終値が、
 
(1) 行使価格以上の場合
                ・・・額面で償還
(2) 行使価格未満の場合
                ・・・対象株式で償還(額面あたり、1,000株)
クーポン : 5.00%
対象株式 : 東証上場メーカーA社 (本債券の売出開始日前日株価:3,050円)
行使価格 : 2,550円

 

この債券の保有者は、5%という高いクーポンを受け取ることができます。その代わりに、評価日(約1年後の2001年8月末)のA社株価によっては、株式で償還されるリスクを負っています。下表は、評価日におけるA社株価と投資家の額面1単位あたりの損益及び利回りを計算したものです。計算にあたっては、現在の株価を3,050円、評価日の株価と償還日の株価が同じであると仮定し、手数料・税金は考慮していません。
 
 
評価日におけるA社株価が行使価格の2,550円以上であれば額面で償還されるため投資家の損益はクーポンと同額の127,500円(2,550,000×5%)、利回りは5.0%となります。
 
評価日において、株価が行使価格未満にまで下落して、例えば2,050円になっていた場合、償還は株式1,000株で行われます。これは、時価205万円の株式を255万円で購入したのと同じことであり、償還日における株価が2,050円のままであれば、50万円の評価損が生じてしまうことになります。ただし、クーポンの127,500円を受け取ることができるので、合計損益は372,500円の損失、利回りは▲14.6%となります。また、評価日から償還日にかけて、株価が上昇していれば償還日における評価損は縮小し、株価が行使価格以上にまで回復していれば評価益が生じる可能性もあります。逆に、株価がさらに下落していれば損失額は膨らみます。
 

なお、本他社株転換債の発行体が発行している普通債券は、Moody's社(米国の大手格付機関)からAa1という日本国債(Aa2)よりも高い格付を得ているため、デフォルト・リスクは小さいと考えられます。しかしながら、格付がどれほど高くても絶対にデフォルトしないという保証はなく、発行体がデフォルトした場合には、元利金が支払われないことや株券が引き渡されないことがあります。  次にA社株式に投資した場合と比較してみます。

下図は、他社株転換債に投資した場合と株式に投資した場合の株価と利回りの関係を表したものです。他社株転換債は、株価が行使価格を下回った場合には損失が生じますが、その損失額は株式に直接投資した場合よりも小さくなります。一方、株価が上昇した場合、株式投資の利回りは株価に比例して上昇するのに対して、他社株転換債投資の利回りは、一定(クーポンの5%)になります。
 
 
なお、他社株転換債の償還を株式で受けた場合、税務上の取得価格は行使価格ではなく、償還日の終値とみなされるので注意が必要です。
 
例えば先ほどの例で、行使価格2,550円の他社株転換債がA社株式で償還され、償還日の終値が2,050円であったとすると、取得単価は2,550円ではなく、2,050円となり、取得価格は債券の額面の255万円よりも低い205万円となります。源泉分離課税であれば問題は生じませんが、申告分離課税の場合、例えば、その後、A社株価が回復し、2,550円で売却した場合、取得価格(205万円)と売却代金(255万円)の差額の50万円が利益とみなされて課税対象となってしまいます。投資家からみると、当初255万円で購入した他社株転換債により取得した株式を同額の255万円で売却しているにもかかわず課税されることになってしまいます。この結果、株式を行使価格以上で売却しても、税引き後の手取額が他社株転換債の投資額以下になってしまうことがあります。
 
 
終わり
 

 
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