Q1 発行会社は対象株式を保有していて発行するのか?
A1 必ずしも保有しているとは限りません。発行会社が外国政府系機関などの場合には、発行会社は証券会社と対象株式のオプション契約を結び、株式償還決定後に償還用の株式を買い付けます。(詳細は仕組み参照)
Q2 発行会社は対象株式の株価が下落すると予想しているのか?
A2 株価に関してはニュートラルであると考えられます。株価が下落して、株式で償還されることになっても、発行会社が償還株式を市場で行使価格よりも安く調達し、大きな収益を上げるようなことはないと思われます。
発行会社が外国政府形機関などの場合、発行会社はオプションを取り扱う証券会社や銀行と対象株式のオプション契約を結んでいます。発行会社にとっては、実質、普通債券を発行しているのと同じことになります。
一方、自己でオプション取引も行う証券会社や銀行が発行会社となる場合、発行会社は、ヘッジを行い、株価が上昇しても下落しても一定の収益を上げることを目標としています。(詳細は仕組み参照)
また、証券会社は営業戦略上、額面で償還され投資家に損失が発生しないことを望んでいるはずで、値下がりすると予想される株式を対象株式にすることはないと考えられます。(ただし、証券会社の意に反して、株価が下落し、株式で償還される可能性はあります。)
Q3 普通の転換社債の額面は50万円とか100万円とか切がいいのに、他社株転換債の額面はどうして半端なのか?
A3 通常の転換社債において転換される株式は、発行会社が新規に発行する株式であるため、売買単位未満株数が生じても問題は起こりません。これに対して他社株転換債において転換される株式は、市場で流通している株式であるため、売買単位株数でなければなりません。そのため他社株転換債の額面は、行使価格に売買単位株式数を掛けた金額とされています。
なお、現物株式による償還ではなく、行使価格に株数を乗じた時価相当額の金銭で償還される債券の場合には、こういった売買単位株式数による額面の制約はありません。
Q4 クーポンはどうやって決めるのか? クーポンが高いほど対象株式の株価が値下がりすると予想しているのか?
A4 クーポン決定において、株価の予想は使用されていないと考えられます。しかしながら、仕組み債にもハイリスク・ハイリターンの原則が当てはまり、クーポン(リターン)が高いほど、株式で償還される確率が高かったり、確率は低いものの株式で償還された場合の損失額が大きかったりします。
他社株転換社債においては、クーポン=普通債のクーポン+プット・オプション価格 という式が成り立ちます。 一般に、プット・オプションの理論価格は、ブラック=ショールズ・モデルという理論式やその改良型を基に、期間、株価、行使価格、金利、配当、ボラティリティ(株価の変動性)といった値を使用して算出されますが、株価の予想値は使用されません。したがって、クーポンの決定において株価の予想は使用されていないことになります。
ブラック=ショールズ・モデルによると、以下の関係が成り立ちます。
・行使価格が高いほどクーポンは高い
・期間が長いほどクーポンが高い
・ボラティリティが高いほどクーポンが高い
また、債券としての特性から、発行体の信用度が低いほどクーポンは高くなります。
Q5 他社株転換債は株式で償還されても今より安く株が買えるのでリスクがないのでは?
A5 他社株転換債にはリスクがあります。 他社株転換債には、行使価格が発行時の株価よりも低く設定されているものもあります。しかしながら、株式で償還されたからといって、安く買えたことにはなりません。償還時の株価が行使価格よりも低ければ、株式で償還されると同時に評価損が発生することになるからです。
例えば、発行時株価2,200円、行使価格2,000円、額面200万円の他社株転換債を考えます。償還時に株価が1,500円に下落していた場合、株式で償還されることになりますが、これは、2,000円で1,000株買い付けるのと同等になり、その時点で50万円の評価損が発生します。
一方、他社株転換債に投資する代りに200万円を同期間の定期預金に預け、満期時に1,500円で1,000株買っていれば、50万円と定期預金の利息から株式買付手数料等を差し引いた額が余ることになります。
Q6 他社株転換債に投資するときの注意点は?
A6 全ての金融商品に共通することですが、投資する前に仕組みについて十分理解していなければなりません。他社株転換債の場合には、特に、発行体の信用度、対象株式、行使価格、株式で償還される条件といったことについて営業員から十分な説明を受けることが必要です。その上で、対象株式の株価、業績等から投資判断を行うとよいでしょう。
また、他社株転換債は短期の債券ですが、株価が下落して株式で償還され、結果的に長期の株式投資となってしまう場合があるので、当面必要としない長期資金で投資すべきと考えられます。さらに、税務上、償還により取得した株式の取得単価は、行使価格ではなく、償還日の終値とみなされるので、申告分離課税を選択している場合(申告分離課税に一本化された場合)、株式を行使価格以上で売却した場合でも税引き後の手取額が他社株転換債の投資額以下になってしまうことがあります。
なお、他社株転換債の中には対象株式が複数だったり、ノックイン/ノックアウト条項がついていたりしていて非常に複雑で、営業員でさえ理解するのが難しいものもあるかもしれません。仕組みのよくわからない商品に投資して、予期せぬ損失を被ることだけは避けなければなりません。自分自身で理解できない商品には一切投資しないといった投資方針をたてることも必要かもしれません。
Q7 他社株転換債を転売したいのだが
A7 他社株転換債については、一般に流通市場がありません。転売に関しては販売証券会社に相談する必要があります。なお、転売が可能な場合においても、他社株転換債の価格は、金利、株価等によって決定されるため、予想外に低い価格でしか転売できない可能性もあります。 |
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