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他社株転換債(EB)とは 〜 仕組み 〜
 

他社株転換債は、仕組み債と呼ばれている債券の一種です。仕組み債とは、普通債券に証券会社や銀行が提供するスワップやオプションといったデリバティブを組み合わせることで、普通債券にない特性を備えた債券です。
 以下、次のような他社株転換債を例に発行から償還までの仕組みを説明します。
 

○○国政府系機関 他社株転換条項付債券
発行額: 15億円
額 面: 150万円
償還日: 1年後
償還金額: 評価日(償還日の5営業日前)の対象株式の東証終値が、
 行使価格以上の場合・・・額面で償還
 行使価格未満の場合・・・対象株式で償還(額面あたり、1,000株)
クーポン: 4.5%
対象株式: 東証上場のB社
行使価格: 1,500円

ステップ1 発行体の選定
 ○○国の政府系金融機関は、信用度の高い機関で、常時各国通貨建ての債券を発行して資金調達を行っています。この機関の1年の円資金の調達コスト(円債のクーポン)は0.6%です。
 一方、日本においてデリバティブ業務を行っているX証券は、他社株転換債の発行を計画していて、東証上場のB社であれば業績も好調で、株価もそれほど値下がりするとは思えないので、他社株転換債の対象株式としてニーズは高いと考えています。
 そこで、X証券は、○○国政府系機関に対して、B社を対象株式とした他社株転換債の発行を提案します。提案に際しては、債券に他社株転換条項を付す見返りとして、調達コストを通常よりも0.1%低い0.5%で提示します。○○国政府系機関はこの提案を受け入れ、他社株転換債を発行することにしました。

ステップ2 プライシング(条件決定)
 X証券は、現在の市場環境、B社株の過去の変動率等を基に、B社株の期間1年、行使価格1,500円のプット・オプションの理論価格を75円(行使価格の5%)と推定し、理論値より15円安い60円(行使価格の4%)なら買ってもいいと判断しました。
 この結果、次のような仕組み債の発行が計画されます。

ステップ3 発行
 まず、○○国政府系機関は、期間1年、クーポン0.5%、発行額15億円の円建債券を発行したと仮定します。次に、X証券との間でB社株式のプット・オプション契約を締結します。

オプション契約の内容
タイプ: プット・オプション
期 間: 1年(他社株転換債の評価日に合わせる)
買い手: X証券
対象株式: B社株
数 量: 100万株(15億円)
行使価格: 1,500円
オプション料: 60円/株、総額6,000万円
(行使価格の4%、X証券から○○国政府系機関への支払)

 ○○国政府系機関は、クーポン0.5%の債券に上記プット・オプションにより得るオプション料の4%を上乗せして、他社株転換債を実際に発行します。

 
ステップ4A 額面償還
 ○○国政府系機関は、額面の15億円とクーポンの750万円(0.5%)を用意し、それにオプション料の6,000万円(4%)を加えて、額面15億円とクーポン6,750万円(4.5%)を他社株転換債保有者に支払います。なお。額面償還の時には、評価日の株価が行使価格を上回っていることになり、プット・オプションは消滅しています。

 
ステップ4B 株式償還
 この場合、評価日の株価が行使価格を下回っていることになり、X社はプット・オプションを行使します。○○国政府系機関は、額面の15億円とクーポンの750万円(0.5%)を用意し、X社からオプション料6,000万円及びB者株式100万株を受取る一方、額面の15億円をX社に支払います。そして、B社株式100万株及びクーポン6,750万円(4.5%)を他社株転換債保有者に支払います。

 以上のことから、発行体である○○国政府系機関にとっては、普通債券を発行したのと同じことになります。
 また、プット・オプションを買い付けたX証券は、オプションのヘッジという手法を用いて、株価の騰落にかかわらずに、理論単価(75円)と買付単価(60円)の差額(15円)の収益獲得を目指します。X証券は、プット・オプションが消滅してもオプション料を上回るヘッジによる収益を上げる一方、プット・オプションを行使してもその利益の多くはヘッジによる損失と相殺されてしまいます。
 
 
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